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掲載日:2017-02-15

「平成29年度税制改正の大綱」について

 平成28年12月22日に閣議決定された「平成29年度税制改正の大綱」について、中小企業にとってポイントになる点を中心に記事をまとめました。
 税制大綱は改正案である為、平成29年3月頃に改正案の審議・可決、4月頃に改正案が施行という流れになります。

1)所得税・住民税

a)配偶者控除、配偶者特別控除の見直し
(配偶者控除)
 控除対象配偶者又は老人控除対象配偶者を有する居住者について適用する配偶者控除の額を次のとおりとする。なお、合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者控除の適用はできないこととする。

(配偶者特別控除)
 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額を38万円超123 万円以下(現行:38万円超76万円未満)とし、その控除額を次のとおりとする。なお、現行制度と同様に、合計所得金額が1,000万円を超える居住者については、配偶者特別控除の適用はできないこととする

1.合計所得金額900万円以下の居住者

2.合計所得金額900万円超950万円以下の居住者

3.合計所得金額950万円超1,000万円以下の居住者

 上記の改正は、所得税は平成30年分以後について適用、個人住民税は平成31年度分以後について適用する。

b)積立NISAの創設
 現行のNISA制度は、年間120万円の購入枠が設けられています。これは上場株式等の売却益や配当について5年間の非課税となっている制度です。今回新たに現行制度との選択として、積立NISAが創設されます。
積立NISAの特徴は、


1.年間の投資助言額が40万円
2.非課税期間は20年
3.長期の累積投資に適した商品性のあるものに限定。

という事です。
 上記の改正は、所得税は平成30年分以後について適用、個人住民税は平成31年度分以後について適用する。

(2)法人税

a)中小企業者等に掛かる軽減税率の特例の延長
中小法人の軽減税率(15%)の適用期限を2年延長し、平成31年3月31日までに開始する事業年度について適用する。

b)所得拡大促進税制の見直し(所得税も同様です)
1.中小企業者等以外の法人について、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えることとの要件を、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上であることとの要件に見直すとともに、控除税額を、雇用者給与等支給増加額の10%と雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の2%との合計額(現行:雇用者給与等支給 増加額の10%)とする。
2.中小企業者等について、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上である場合における控除税額を、雇用者給与等支給増加額の10%と雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%との合計額 (現行:雇用者給与等支給増加額の10%) とする。

c) 中小企業向け設備投資促進税制の拡充(所得税も同様です)
 中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)について、次の中小企業経営強化税制として改組し、全ての器具備品及び建物附属設備を対象とする。青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアで、特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、その特定経営力向上設備等の普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却とその取得価額の7%(特定中小企業者等にあっては、10%)の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができる。

(3)相続税・贈与税

a)納税義務の見直し
 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととする。
 上記の改正は、平成29年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

b)財産評価の適正化
・取引相場のない株式の評価見直し
1.類似業種比準方式について、次の見直しを行う。
(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価
純資産価額について、連結決算を反映させたものとする。
(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする。
2.評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。
 上記は、平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用する。
・広大地の評価
 広大地の評価について、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する。
上記は、平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用する。
・株式保有会社
 株式保有特定会社(保有する株式及び出資の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社をいう。)の判定基準に新株予約権付社債を加える。
 上記は、平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用する。

(4)固定資産税・不動産取得税

・居住用超高層建築物に係る課税の見直し
 高層タワーマンションの固定資産税・不動産取得税の税額計算の見直しです。高さ60m超の建築物について、建築物全体の固定資産税額を按分する床面積の割合について、1階を100とし、1階増すごとに10/39を加えた補正率で計算するというものです。
 高層タワーマンションの場合、今までの計算方法だと、高層階になるほど取引価格が高くなるにも係らず、固定資産税等に反映されてなかった為、それを是正する趣旨で見直しとなりました。
 上記の改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く。)について適用する。
上記が今回の税制大綱の要点となります。
 特に今年の目玉は配偶者控除の見直しです。
 この見直しにより財務省の試算では、約300万世帯が減税となる一方で、約100万世帯が増税になる見通しです。
中小企業の経営者にとっては、法人税は減税傾向、個人課税は増税といった改正案となっております。

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