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掲載日:2019-01-09

【働き方改革】「年次有給休暇の年5日取得」に対応するための実務ポイント

2019年4月より「働き方改革」の柱の一つとして、労働者の「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が使用者へ義務付けられることになります。それに伴い、このたび厚生労働省より実務上の対応に係わる解説リーフレットが公開されました。今号では来春からの適用に備え、事業主様・ご担当者様には、ぜひご一読いただきたい内容を掲載いたします。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得・わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

【有休取得義務化対応(1)/「年次有給休暇の管理方法」を見直しましょう!】

労働者の有休消化を進めるためには、年次有給休暇に関わる「適正な管理」が必須となります。
「誰に何日分の有休が付与されているのか?」
「そのうち、どの程度が取得されているのか?」
御社では、このような現状を正しく把握できているでしょうか?

年間の有給休暇取得・付与を管理するためには、「年次有給休暇の付与日の統一」が有効です。「年次有給休暇」は本来、労働者ごとに入社のタイミングに応じて付与されるものです。しかし、有給休暇を個別管理する方法では、労働者の数だけ管理が必要になり、有休取得義務化への対応が難しくなるでしょう。そこで、付与日をまとめて統一することで、有休付与や年5日取得への対応を統一管理できるようになります。

具体的には、会社規模に応じた以下の方法が考えられます。

<方法1>
●一斉付与日を設ける
(対象:人員規模の大きな事業場、新卒一括採用をしている事業場など)
年次有給休暇の付与日を1つにまとめることが有効です。例えば1/1や4/1に年次有給休暇を一斉付与することで、より多くの方を統一的に管理することが可能です。

<方法2>
●基準日を月初などに統一する
(対象:中途採用を行っている事業場、比較的小規模な事業場など)
入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得・わかりやすい解説/II実務対応編-1.年次有給休暇を管理しやすくするための方法(P11)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

【有休取得義務化対応(2)/「年5日の確実な取得」の取り組みを検討しましょう!】

年5日の「有休取得義務化」に対応するために有効な方法として、下記の取り組みが紹介されています。

●『年次有給休暇取得計画表』の作成
年5日の「有休取得義務化」に伴い、事業場には新たに『年次有給休暇管理簿』の作成と3年間の保管義務が課せられます。ただし、有休の付与と取得の状況をただ記録するだけの様式では、使用者が主体的に有休消化を奨励する上で、若干役不足と言えましょう。

そこで働く人が年次有給休暇を確実に取得できる様、また会社がその取得時季を把握しやすいように『年次有給休暇取得計画表』を活用して取得予定と実績を記録できるようにしておくことをお勧めします。

ただし、有休取得予定の申告が、年に一度の場合「予定」と「実際」では、大きくかけ離れる可能性があります。四半期・月ごと等の期間で計画表を準備することで、計画表自体が形骸化しない様に工夫されると良いでしょう。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得・わかりやすい解説/II実務対応編-2.年5日の確実な取得のための方法(P12~19)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

●年次有給休暇の計画的付与制度の活用
「有休の取得奨励をしたいが、人員に余裕がなくて対応に苦労している」という事業所であれば、計画的付与制度の活用が便利です。計画的付与とは、労使協定の定めに従い、前もって計画的に休暇取得日を割り振る制度のこと。付与された有休日数から5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象にできます。全社一斉の取得日の設定の他、部署やグループ、個人別での計画的付与ができるため、柔軟な設定が可能になります。

参考:厚生労働省「年次有給休暇の計画的付与制度」

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_01e.pdf

●使用者からの時季指定
使用者は労働者ごとに、有休付与日より「1年以内に5日」確実に休暇を取得させなければなりません。有休取得が進まない労働者に対しては、事前に希望を聴取した上で、使用者から時季指定を行い、取得日を決定・通知しましょう。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得・わかりやすい解説/I法令解説編-2.年5日の年次有給休暇の確実な取得(2019年4月~/P5~10)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

使用者による時季指定を行うタイミングは、下記例のような状況に合わせて検討する必要があります。

・基準日から一定期間が経過したタイミング(半年後など)で年次有給休暇の請求・取得日数が5日未満となっている労働者に対して、使用者から時季指定をする
・過去の実績を見て年次有給休暇の取得日数が著しく少ない労働者に対しては、労働者が年間を通じて計画的に年次有給休暇を取得できるよう基準日に使用者から時季指定をする

【Q&Aから疑問を解消!】

有休取得義務化への対応には、実務上、様々な疑問が生じることでしょう。このたび公開されたリーフレットには、使用者より挙げられる「よくある質問」がまとめられています。問題解決にきっとお役立ていただけるでしょう。ここでは主なQ&A(4例)を抜粋しますが、ぜひ下記URLより全体をご確認いただくことを推奨いたします。

<Q>
2019年4月より前(例えば2019年1月)に10日以上の年次有給休暇を付与している場合には、そのうち5日分について、2019年4月以後に年5日確実に取得させる必要がありますか?
<A>
改正法が施行される2019年4月1日以後、最初に年10日以上の年次有給休暇を付与する日(基準日)から、年5日確実に取得させる必要があります。よって、2019年4月より前に年次有給休暇を付与している場合は、使用者に時季指定義務が発生しないため、年5日確実に取得させなくとも、法違反とはなりません。

<Q>
パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者であって、1年以内に付与される年次有給休暇の日数が10日未満の者について、前年度から繰り越した日数を含めると10日以上となっている場合、年5日確実に取得させる義務の対象となるのでしょうか?
<A>
対象とはなりません。前年度から繰り越した年次有給休暇の日数は含まず、当年度に付与される法定の年次有給休暇の日数が10日以上である労働者が義務の対象となります。

<Q>
年次有給休暇の取得を労働者本人が希望せず、使用者が時季指定を行っても休むことを拒否した場合には、使用者側の責任はどこまで問われるのでしょうか?
<A>
使用者が時季指定をしたにもかかわらず、労働者がこれに従わず、自らの判断で出勤し、使用者がその労働を受領した場合には、年次有給休暇を取得したことにならないため、法違反を問われることになります。ただし労働基準監督署の監督指導において、法違反が認められた場合は、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただくこととしています。

<Q>
管理監督者にも年5日の年次有給休暇を確実に取得させる必要があるのでしょうか?
<A>
あります。管理監督者も義務の対象となります。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得・わかりやすい解説/IIIQ&A(P20~22)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

2019年4月を目前に、政府からは今後も随時、働き方改革の推進の役立つ資料が提供される予定です。これらは現場での対応に役立つ情報ですので、欠かさず確認していきましょう。引き続き、本コラムでも最新の情報をアップデートしてまいります。

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