ビジネス支援

掲載日:2019-01-23

【社会保険】2019年1月4日より改正適用。「報酬・賞与の区分」の明確化にご注意ください!

すでにご存じの通り、健康保険・厚生年金の保険料は毎月支払われる「報酬」の他、一定期間ごとに支払われる「賞与」について、それぞれ算出方法が違います。ひと口に「報酬」「賞与」といっても、賃金体制によってはその判断は難しいものとなります。

例えば、賞与としての性質を有する手当が「年4回以上に分割されて支給される」ような場合、これは厳密に言うと「報酬」なのか?「賞与」なのか?このように判断に迷うケースもあるでしょう。

この点2019年1月4日より、社会保険における「報酬・賞与の区分の明確化」に関わる改正が適用となっています。早速、概要を確認していきましょう。

【2015年10月時点より、明確化が求められていた「報酬・賞与の適正区分」】

社会保険に関わる「報酬」「賞与」の適正な区分については、すでに2015年10月1日適用の通達にて触れられている事項です。これによると…

“「通常の報酬」には、一ヶ月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合、その他これに準ずる場合は含まれないこと。"

とされています。社会保険において「賞与」に関しては原則「4回以上支給する場合には賞与ではなく、報酬として月額賃金に加え、それをもとに保険料を計算する」というルールがあります。これは「算定事由を鑑みて『賞与』に該当する場合には、『賞与』として扱いましょう」という通達が出されたものです。

なぜ、このような記載が追加されたかと言えば、「保険料を適正に算定するため」です。過去には、本来「賞与」であるにもかかわらず毎月の手当として分割し、通常の「報酬」と併せて支給することで社会保険料負担の軽減を図る事例を散見しました(※)。そこで、政府主導により、こうした不正な手法への対策がとられた形となります。

(※)
・「賞与」:標準賞与額をもとに、毎月の社会保険料と同率の保険料を納付
・通常の「報酬」:原則4月・5月・6月の報酬月額を元に保険料が算出されるため、この期間の報酬額を調整することで社会保険料負担を軽減させることが可能

2015年10月1日以降、1ヶ月を超える評価期間で算出される賃金については、「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、賞与の「分割支給分の合計」を12で割った額も加えて「標準報酬月額」が決定されることになっています。

参考:厚生労働省「(保保発0918第1号、年管管発0918第5号)平成27年9月18日『健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて』の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc1304&dataType=1&pageNo=1

【社会保険における「報酬」と「賞与」の取扱い、更なる明確化の概要とは?】

2019年1月4日より適用される変更は、「通常の報酬」「賞与に係る報酬」「賞与」の区分をさらに明らかにし、2015年10月1日適用の通達事項を徹底しようというものです。具体的には、下記の2つのポイントについて明確化されます。

参考:厚生労働省「『健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて』の一部改正について」にかかる留意点について/別紙Q3<事例1><事例2><事例3>
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2018/20181023.files/02.pdf
※上記参考を、ぜひご参照しながらお読みください

(1)諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること

事例1のように、業績に応じて支給される手当として、毎月定額により支給される手当(手当A1)と、半年毎に支給される手当(手当A2)が、給与規程上は「手当A」として規定されているが、賃金台帳上では「手当A1」及び「手当A2」と区分して記載されている場合には、「手当A1」と「手当A2」は客観的に区分できるものとして、「手当A1」を「通常の報酬」、「手当A2」を「賞与」として取り扱う。

事例2のように、業績に応じて支給される手当として、給与規程上では、毎月定額により支給される「手当A1」と半年毎に支給される「手当A2」に区分して規定されているが、賃金台帳上では、「手当A」としてまとめて記載されている場合も、事例1と同様に、「手当A1」と「手当A2」は客観的に区分できるものとして、「手当A1」を「通常の報酬」、「手当A2」を「賞与」として取り扱う。

事例3のように、業績に応じて手当が支給され、支給額から毎月定額により支給される手当と半年毎に支給される手当が一体で支給されていると考えられる場合であって、給与規程及び賃金台帳のいずれにおいても、事例1及び事例2のように手当が区分されておらず、客観的に区分できない場合には、「手当A」は一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されるものとして、「賞与に係る報酬」として取り扱う。

(2)本通知の取扱いは、本通知の適用日以降に受け付けた届書から適用することとしており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要さない。

参考:厚生労働省「『健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて』の一部改正について」にかかる留意点について/別紙Q4、Q5
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2018/20181023.files/02.pdf

参考:日本年金機構「【事業主の皆様へ】報酬・賞与の区分が明確化されます」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2018/20181023.html
※上記参考を、ぜひご参照しながらお読みください

~本通知適用後、新たに賞与の支給が諸規定に定められた場合、次期標準報酬月額の定時決定までの間の具体的な取扱い~
●新たに諸手当等の支給が諸規定に定められた場合、仮に年間を通じ4回以上の支給が客観的に定められている場合であっても、次期標準報酬月額の定時決定までの間は、賞与に係る報酬額を算定することが困難であることから、「賞与」として取り扱い、賞与支払届を提出させる
●期標準報酬月額の定時決定の際には、諸規定や支給実績を元に「賞与に係る報酬」又は「賞与」を判断し、「賞与に係る報酬額」については、支給実績から、諸規定による諸手当等の支給回数等の支給条件であったとすれば7月1日前1年間に受けたであろう賞与の額を算定し、その額を 12で除して得た額となる

【今一度、「給与規程と賃金台帳」の見直しを】

前述のポイント(1)の通り、今回の通達への適用を考える上で重要な点は、「給与と賞与に関わる規定を給与規程に適正に定め、これに基づいた形で賃金台帳を作成できているか」にあります。現状、未対応の事業場においては、給与規程の定めと賃金台帳の記載に差異が生じていないか、早急に確認を進めていくことをおすすめします。

  • 戻る戻る

PAGE TOP