ビジネス支援

掲載日:2019-01-30

いよいよ2019年4月施行!「年5日の有休取得義務化に関わる実務上の取扱い」こんなときどうする?

皆様「年5日の有休取得義務化」への対応準備は、万全でしょうか?2019年4月より、労働者に対し年5日の有給休暇を確実に取得させることが、使用者の義務となります。以前の記事では年5日の有休取得義務化への対応に向けて、企業が取り組むべき事項をお伝えしました。

参考:人材ドラフト「【働き方改革】「年次有給休暇の年5日取得」に対応するための実務ポイント」
https://www.jinzai-draft.com/business_support.php?submit=news_d&news_id=105

今号では、2018年末に厚生労働省より発出された通達から、実務上判断に迷いそうな事項に関わるQ&Aをピックアップしてご紹介することにしましょう。

【「年次有給休暇の時季指定」はいつ、誰に対して行うか?】

改正労基法の施行に伴い、使用者は年5日の有休取得が難しい労働者に対し「時季指定」を行うことで確実に休暇を取得させなければなりません。実務上重要な、時季指定の「タイミング」と「対象者」を正しく把握しておきましょう。

-------------------------------
<Q>使用者からの時季指定は、どのタイミングですべき?
<A>使用者による時季指定は、必ずしも基準日からの1年間の期首に限られず、当該期間の途中に行うことも可能である。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P9<使用者による時季指定>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
ガイドラインでは、基準日時点で時季指定する方法の他、基準日から一定期間経過後の状況に応じて、時季指定を行う対応が紹介されています。以下は基準日から半年経過後のタイミングで、使用者が労働者に希望を聴取の上、時季指定を行う際の例です。

(1)4月1日に年休を10日以上付与
→1年間(4/1~翌3/31まで)に5日年休を取得させる義務が発生
(2)半年経過(10/1)時点で、年休を2日しか取得していない(その時点で請求もしていない)
(3)残りの半年間で、未取得日数分の年休を使用者が時期指定

基準日から一定期間経過後の時季指定は、有休取得を確実なものにする上では、必要な対応となります。2019年春以降、業務フローに取り入れる方向で検討されると良いでしょう。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」/P13具体的なイメージ(図解)
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

-------------------------------
<Q>「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」には、比例付与の対象となる労働者が、前年度繰越分の有給休暇と当年度付与分の有給休暇とを合算して初めて 10 労働日以上となる者も含まれる?
<A>「有給休暇の日数が10労働日以上である労働者」とは、基準日に付与される年次有給休暇の日数が 10 労働日以上である労働者を規定したもの。今年度の基準日に付与される年次有給休暇の日数が 10労働日未満である者については、仮に、前年度繰越分の年次有給休暇も合算すれば 10 労働日以上となったとしても、対象には含まれない。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P10<使用者による時季指定の対象となる労働者>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
「基準日に付与される年次有給休暇が10労働日未満」となる労働者には、パートやアルバイト等で有休の比例付与が適用される方が想定されます。つまり、所定労働日数の少ないパート・アルバイトは、使用者が「年5日の有休取得」を徹底すべき対象から除外されることになります。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」/P20【対象となる休暇に関するご質問・Q4】
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」/表2(比例付与日数)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei06.html

【使用者による年次有給休暇の時季指定の「単位」「変更」は?】

使用者から時季指定を行う際、年次有給休暇の「取得単位」や「変更可否」についても確認しておきましょう。

-------------------------------
<Q>使用者による時季指定を「半日単位」や「時間単位」で行うことはできる?
<A>労働者の意見を聴いた際に、半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、使用者が年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことは差し支えない。この場合、半日の年次有給休暇の日数は「0.5日」として取り扱うこと。また、時季指定を時間単位で行うことは認められない。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P10<半日単位・時間単位による時季指定の可否>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
原則は「1日単位」の取得となる有休ですが、有休消化の奨励のためには、「半日単位」の取得も認めて利便性を高めることも有効です。この場合、「午前休」「午後休」それぞれの場合について何時から何時までの間を指すのか、必要に応じて半日単位で有休を取得できる上限回数等、実務上必要な事項を就業規則に定めておかれると安心でしょう。ちなみに「時間単位」による有休取得は、時季指定では認められない点に注意が必要です。

-------------------------------
<Q>指定した時季を、使用者又は労働者が事後に変更することはできる?
<A>使用者が、指定した時季について意見聴取の手続を再度行い、その意見を尊重するために変更することは可能である。また、労働者が自由に変更することはできないが、使用者が指定した後に労働者に変更の希望があれば、使用者は再度意見を聴取し、その意見を尊重することが望ましい。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P10~11<事後における時季変更の可否>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
時季指定を行っていたとしても、事情によっては指定日に必ず休めないこともあります。指定日の変更に関しては、労使の合意の元、柔軟に対応しましょう。また、指定日の有休取得が難しい場合には、再度新たな指定日を定めることで有休消化を確実なものにする工夫が必要となります。

-------------------------------
<Q>あらかじめ使用者が時季指定した年次有給休暇日が到来するより前に、労働者が自ら年次有給休暇を取得した場合は、当初使用者が時季指定した日に労働者が年次有給休暇を取得しなくても、法第 39 条第7項違反ではない?
<A>設問の場合は、労働者が自ら年次有給休暇を5日取得しており、法第39 条第7項違反とはならない。なお、当初使用者が行った時季指定は、使用者と労働者との間において特段の取決めがない限り、当然に無効とはならない。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P11<時季指定後に労働者が自ら年次有給休暇を取得した場合>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
時季指定した日より前に労働者が自ら有休取得をするケースを踏まえ、あらかじめ「指定日の取扱い」について、労働者の希望を聴取すると良いでしょう。使用者側から「すでに5日の有休を取得したから時季指定は無効」とする対応は、有休取得奨励の趣旨に反します。有給消化日数は、多ければ多いほど望ましいと言えます。

【年5日有休取得義務化に伴う「就業規則整備」のポイントは?】

「年5日の有休取得義務化」を進めていく上で、同時に「就業規則」の内容整備が求められることも予想されます。下記はあくまで一例となりますが、ぜひご参照ください。

-------------------------------
<Q>法定の年次有給休暇とは異なる、事業場が独自に設けている「特別休暇」を労働者が取得した場合、その日数分は「年5日」に含めることができる?
<A>法定の年次有給休暇とは別に設けられた特別休暇を取得した日数分については、「年5日」には含まれない。なお、法定の年次有給休暇とは別に設けられた特別休暇について、今回の改正を契機に廃止し、年次有給休暇に振り替えることは法改正の趣旨に沿わないものであるとともに、労働者と合意をすることなく就業規則を変更することにより特別休暇を年次有給休暇に振り替えた後の要件・効果が労働者にとって不利益と認められる場合は、就業規則の不利益変更法理に照らして合理的なものである必要がある。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P13<事業場が独自に設けている特別休暇の取扱い>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
会社が独自に設定する既存の特別休暇と、法定の年次有給休暇は、別の制度として捉える必要があります。また、改正労基法の施行に伴い、使用者が一方的に会社独自の特別休暇を廃止することは認められません(労働契約法第9条)。その合理性、必要性、相当性がある場合に限り、認められます(労働契約法第10条)。

-------------------------------
<Q>時季指定について、就業規則に記載する必要は?
<A>休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者が時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載する必要がある。

参考:厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について/通達_基発1228第15号(労働基準法の解釈について)(平成30年12月28日付)』/P14<就業規則への記載>
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf

~ポイント~
ちなみに、年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、就業規則の規定に加え、労使協定の締結が必要となります(労基署への届け出の必要はありません)。

※就業規則の規定例
(年次有給休暇)
第〇条
(前略)
・前項の規定にかかわらず、労働者代表との書面による協定により、各労働者の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。

※労使協定で定める項目
(1)計画的付与の対象者
計画的付与の時季に育児休業や産前産後の休業に入ることが分かっている者や、定年などあらかじめ退職することが分かっている者については、労使協定で計画的付与の対象から外しておきます。

(2)対象となる年次有給休暇の日数
年次有給休暇のうち、少なくとも5日は労働者の自由な取得を保証しなければなりません。したがって、5日を超える日数について、労使協定に基づき計画的に付与することになります。

(3)計画的付与の具体的な方法
・事業場全体の休業による一斉付与の場合には、具体的な年次有給休暇の付与日を定めます。
・班、グループ別の交代制付与の場合には、班、グループ別の具体的な年次有給休暇の付与日を定めます。
・年次有給休暇付与計画表等による個人別付与の場合には、計画表を作成する時期とその手続き等について定めます。

(4)有給休暇の付与日数が少ないものの扱い
事業場全体の休業による一斉付与の場合には、新規採用者などで5日を超える年次有給休暇がないものに対しても、次のいずれかの措置をとります。
・一斉の休業日について、有給の特別休暇とする。
・一斉の休業日について、休業手当として平均賃金の60%以上を支払う。

(5)計画的付与日の変更
あらかじめ計画的付与日を変更することが予想される場合には、労使協定で計画的付与日を変更する場合の手続について定めておきます。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」/P18(ご参考)計画的付与制度(計画年休)の導入に必要な手続き
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

このように、項目ごとに概要確認とポイントを抑えて、2019年4月以降の「年5日の有休取得義務化」への対応策を講じてみてはいかがでしょうか?

  • 戻る戻る

PAGE TOP