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掲載日:2019-02-06

毎月勤労統計の不適切調査で生じる「雇用保険・労災保険の追加給付」とは?

「毎月勤労統計の不適切調査」に関わる報道については、2019年の年初めより連日のようにニュース等で取り上げられています。国の重要データに関わる問題であるため注目を集める一方、報道を受けてもなお「一体何が問題点なのか」「私たちにどのような影響が及ぶのか」が判然としない点も見受けられるようです。

そこで今号では「毎月勤労統計の不適切調査」の問題点とその影響、今後の対応等について厚生労働省の基本指針に基づいて解説してみたいと思います。

【「毎月勤労統計」のどこに不正が行われたか】

厚生労働省が行う「毎月勤労統計調査」とは、賃金・労働時間および雇用の変動に関わる「基幹統計調査」のことを指しています。常用労働者5人以上の事業所を対象として毎月実施する、「全国調査」と都道府県別に実施する「地方調査」。常用労働者1~4人の事業所を対象として年1回7月分について行う「特別調査」があります。

今回、どのような不正が行われたかというと「2004年度以降、本来全数調査するとしていたところを、一部抽出調査で行っていたこと」が明らかになりました。具体的には「500名以上規模の事業所」について、東京都では全数調査であれば1,464事業所に対して行われるはずの調査が、一部抽出の491事業所に対してしか行われていなかったことが判明しました。この結果、あらゆる保険給付算出の基礎となる統計データに誤りが生じ、給付額が少なく算定される事態に発展しています。

【不正に伴う「雇用保険・労災保険の追加給付」概要】

雇用保険および労災保険、船員保険の給付額の算出には、毎月勤労統計の平均給与額変動を基礎としたスライド率が用いられています。このため2004年以降に雇用保険の給付を受給した方の一部に対し、「追加給付」が必要となるケースが発生しました。対象者の詳細は、以下の通りです。

<雇用保険関係の給付を受給された方>
次の雇用保険関係の給付を、2004年8月以降に受給された方が対象となり得ます。
・基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、傷病手当
・個別延長給付、訓練延長給付、広域延長給付、地域延長給付
・就業手当、再就職手当、常用就職したく手当、就業促進定着手当
・高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
・教育訓練支援給付金
・就職促進手当(労働施策総合推進法)、失業者の退職手当(国家公務員退職手当法)等
※2004年8月以降に給付を受けた方でも、時期や賃金日額によって追加給付の対象にならないことがあります

システムの改修や住所等の確認など正確な支給のための最低限の準備を経て、対象者の特定、給付額の計算が可能なケースから、できる限り速やかに順次追加給付を開始することを予定しています。追加給付のためのシステム改修等の準備が整い次第、住所データが残っている方については、お手紙にてご連絡を差し上げることを予定しています。住所データがない方や転居等で住所が不明となった方については、記者発表やホームページ等を通じて、追加給付の可能性がある給付の種類や需給時期等をお示しし、国民の皆様に申し出ていただくよう御協力を呼びかけていきます。

※今後の手続に役立つ可能性がありますので、次の書類は捨てずに保管してください
【雇用保険の失業等給付】受給資格者証、被保険者証
【失業者の退職手当】失業者退職手当受給資格証 等
【就職促進手当】就職促進手当支給決定通知書など支給の事実が確認できる書類
※労働施策総合推進法の就職推進手当等は、システムによらず追加給付を行いますので、ハローワークでの確認・準備作業が終了し次第、追加給付の事務を開始いたします

<雇用調整助成金を受給された事業主>
2004年8月から2011年7月までの間および2014年8月以降に、休業、教育訓練又は出向の初日を設けて雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)を受給されている場合、追加支給の対象となる可能性があります。
※1人1日当たり助成額単価が、雇用保険の基本手当日額の最高額を超えていた場合、追加の支給を受ける対象となります

所在地データが残っている事業主については、準備が整い次第、お手紙にてご連絡を差し上げます。2004年8月から2011年7月までの間に休業等の初日を設けた雇用調整助成金を受給していた場合は、助成金の申請に当たり、各都道府県労働局に提出された申請書(支給申請書やその添付資料の賃金台帳等)および支給決定通知書が必要となります。

<労災保険の給付を受給された方>
2004年7月以降に、次の給付を受けた方のうち毎月勤労統計の再集計値等の変化を踏まえて支給額の再計算を行い、追加給付が必要となった方が対象となります。
・傷病(補償)年金、傷病特別年金
・障害(補償)年金、障害特別年金
・遺族(補償)年金、遺族特別年金、遺族特別一時金
・休業(補償)給付、休業特別支給金 等

システムの改修や住所等の確認など正確な支給のための最低限の準備を経て、対象者の特定、給付額の計算が可能なケースから、できる限り速やかに順次追加給付を開始することを予定しています。
※今後の手続に役立つ可能性がありますので、次の書類は捨てずに保管してください
・支給決定通知
・支払振込通知
・年金証書
・変更決定通知書

<船員保険の給付を受給された方>
船員保険制度の職務上災害に係る障害年金や遺族年金等の給付額は、原則として、個々の被災者の被災時における標準報酬月額に基づき算定され、補償効果が目減りすることを防ぐため、労災保険のスライド率を乗じています。このため、毎月勤労統計の再集計値等を用いたスライド率の再計算結果により、2004年8月以降に船員保険制度の職務上災害に係る障害年金や遺族年金等(※)を受給されていた方のうち、必要な方について追加給付を行います。
※障害年金や遺族年金のほか、職務上傷病手当金、障害手当金、遺族一時金等の給付も対象となる可能性があります

対象者の特定や給付額の確定作業を早急に進め、できる限り速やかに順次追加給付を開始することを予定しています
※今後の手続に役立つ可能性がありますので、次の書類は捨てずに保管してください
・支給決定通知・振込通知
・年金証書
・改定通知書

参考:厚生労働省からのお知らせ(ハローワーク関係)「雇用保険・労災保険・船員保険の給付を受給していた皆様へ」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000467685.pdf
参考:厚生労働省「2004年8月以降に支給された雇用保険関係の給付に追加給付がある可能性があります」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150982_00003.html

ちなみに、以下の給付については対象となりません。
・技能習得手当(通所手当、受講手当)、寄宿手当
・移転費、求職活動支援費(広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費)
・教育訓練給付
・日雇労働求職者給付金

【「雇用保険・労災保険の追加給付」対象者の確認は?】

追加給付の対象となる場合、ハローワークが把握する連絡先に書面を郵送し、以下に関わる連絡が入ります。
(1)追加給付の対象となっている旨
(2)追加給付額
(3)振り込み予定口座 等

ただし、「住所データ等が残っていない」もしくは「転居などで不明となっている」場合には、本人からの申し出が必要になります。追加給付の対象になっているかどうかの確認、保険給付の受給時から氏名や住所が変更になっている場合の変更手続き等、すべて以下の「追加給付問合わせ専用ダイヤル」にて質問・相談を受け付けています。まずは連絡をしてみてはいかがでしょうか?

<雇用保険・労災保険・船員保険の給付を受給していた方へ>
「追加給付問合せ専用ダイヤル」を設置いたしました
全国どこからでも通話料無料でお電話いただけます(2019年1月11日から)
・雇用保険追加給付問合せ専用ダイヤル
・労災保険追加給付問合せ専用ダイヤル
・船員保険追加給付問合せ専用ダイヤル
※実際の電話番号については以下、参考URLよりご参照ください

参考:厚生労働省からのお知らせ(ハローワーク関係)「雇用保険・労災保険・船員保険の給付を受給していた皆様へ」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000467685.pdf
参考:厚生労働省「2004年8月以降に支給された雇用保険関係の給付に追加給付がある可能性があります」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150982_00003.html

雇用保険・労災保険の追加給付は、「2004年8月以降の保険給付」について対象となる可能性があるとのこと。対象となる人や企業は、決して少なくないと思われます。このたびの不適切調査に伴い、雇用保険や労災保険等の給付に関わるご相談等があれば、些細なことでもまずは「追加給付問合せ専用ダイヤル」に問い合わせてみることをお勧めいたします。

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