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掲載日:2019-06-09

2020年4月施行の改正民法により「残業代請求の時効」が延長されます

働き方改革を背景に注目される「時間外労働」。現場においては「上限規制」の他に、「残業代請求の時効延長」についても押さえておく必要があります。皆さまは2020年4月より「未払い賃金請求権」の時効が、現行の「2年」から「5年」に延長されることをご存知でしょうか?今号では、その概要と今から対応しておくべきことを確認していきましょう。

【2020年4月より、未払賃金の消滅時効は「5年」に延長】

現行の民法の原則では、「一般債権の消滅時効は10年(民法第167条)」、「月又はこれより短い期間によって定めた使用人の給料に係る債権については1年の短期消滅時効(民法第174条)」とされています。しかしながら、労働者にとって重要な請求権の消滅時効が1年ではその保護に欠けること、一方で10年では使用者には酷であると共に取引安全に及ぼす影響も少なくないといった事情から、労働基準法(昭和22年法律第49号)第115条において「2年間」に定められています。

このたびの民法改正では、職業別の「短期消滅時効」が廃止。また、未払い賃金については「2、一般債権について」の内容にて時効が適用されることが、下記にある改正前後の概要をご覧いただくとわかると思います。

<民法における消滅時効>
◆改正前
1、職業別の短期消滅時効(1年の消滅時効とされる「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給与に係る債権」も含む)

2、一般債権については、
・権利を行使することができる時から進行
・10年間行使しないときは消滅

◆改正後
1、職業別の短期消滅時効(1年の消滅時効とされる「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権」も含む)を廃止し、

2、一般債権については、
I、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
II、権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
に時効によって消滅することと整理。

参考:厚生労働省「第8回賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会/参考資料_消滅時効の在り方に関する検討の補足資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000211189_00012.html
参考:「消滅時効の在り方に関する 検討の参考資料」P1
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000504534.pdf

【未払賃金に関わる時効延長目前。現場で今対応すべきことは?】

さて、未払賃金の時効が2年から5年に延長されることを受け、今後は各社早急に対応に迫られることになります。未払賃金が生じやすい状況としては、「そもそも勤怠管理が適切に行われていない」という例はもちろん、残業代を支払っているつもりでも「時間外労働手当の単価が誤っている」といったケースが散見されます。

また、特に注意すべきは「固定残業代制度」を導入している会社です。
・固定残業代の「時間単価」は適切ですか?
・固定残業代の算出基礎となる「時間外労働時間数」は明らかにされていますか?
・「当該時間数」を超過する労働時間分については、追加で手当を支払っていますか?

残業代を支払っているつもりでも、労働者各人について細かく見ていくと、意外にも未払いが生じているケースは少なくありません。働き方改革や民法改正を追い風に、「時間外労働」「残業代」は労働者側から特に声が挙がりやすいテーマです。そのため、会社としても適切な対応が求められます。

具体的な対応策については、専門家にご相談いただくのが得策ですが、今すぐ取りかかるとすれば、まずは未払賃金の有無確認と清算、そして社内規程の見直し・整備から進めてみてはいかがでしょうか。

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