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掲載日:2019-07-31

副業・兼業の労働時間管理 今後の方向性は?

政府のモデル就業規則が副業・兼業に関わる条文を改定する等、社会的には副業・兼業解禁の気運が高まりをみせています。その一方で、現場においては未だダブルワークの容認には慎重を期すケースを散見します。こうした背景には「労働時間管理の難しさ」が関係しており、時間外割増賃金支払や過重労働対策等への課題がネックとなっています。

このたび、政府の検討会では、現行の「副業・兼業に関わる労働時間通算制度」が見直される方向にある旨が報告書に明記されました。さっそく、副業・兼業に関わる労働時間管理の方向性を確認しましょう。

参考:厚生労働省/第8回「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05690.html

【健康管理について】

<労働者自身による健康管理を基本に、事業者も通算労働時間に見合った健康確保措置を>
まずは、副業・兼業に伴う労働者の健康管理についてですが、公法上の責務として、事業者には下記の対応が課せられることが検討されています。

◆事業者は、副業・兼業をしている労働者について、自己申告により把握した通算労働時間などを勘案し、当該労働者との面談、労働時間の短縮その他の健康を確保するための措置を講ずるように配慮しなければならないこととすること

上記について、いかなる措置も講じられていない場合には行政指導の対象となります。ただし、報告書には「労働者自身による健康管理がより重要になる」とあり、事業者任せではなく、働く本人の意識や取り組みも不可欠である旨が明記されています。

また、特に労働時間が長時間化する労働者に対しては、「より強い措置を講ずるべき」という下記のような言及もあります。

◆事業者は、副業・兼業をしている労働者の自己申告により把握した通算労働時間について、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えている時間が一月当たり八十時間を超えている場合は、労働時間の短縮措置等を講ずるほか、自らの事業場における措置のみで対応が困難な場合は、当該労働者に対して、副業・兼業先との相談その他の適切な措置を求めることを義務付けること。また、当該労働者の申出を前提に医師の面接指導その他の適切な措置も講ずること。

【上限規制について】

<事業場ごとに副業・兼業の場合、上限時間を設定する>
時間外労働の上限規制への対応として、副業・兼業者の申告を元にした自社独自の労働時間管理を設定することにより、対応を容易にする方法が挙げられています。

◆労働者の自己申告を前提に、通算して管理することが容易となる方法を設けること
(例:日々ではなく、月単位などの長い期間で、副業・兼業の上限時間を設定し、各事業主の下での労働時間をあらかじめ設定した時間内で収めること。)

併せて、「労働者自身が付きの総労働時間をカウントし、上限時間に近くなった時に各事業主に申告する」などといった対応も、事業場ごとの条件規制対応がより取り組みやすくなるのではないでしょうか。労働者による意識や行動に主軸を置く対応も選択肢の一つとなりそうです。

【割増賃金について】

<通算時の割増賃金支払ルールの設定、または各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ支払>
割増賃金については、上限規制同様、あくまで労働者の自己申告を基準となります。他の事業主の下での労働時間把握は、非常に困難なものですが、実際に運用可能なルール適用の検討が目指されます。制度の見直しの方向性としては以下のようなことが考えられるとされています。

◆労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること
(例:使用者の予見可能性のある他の事業主の下での週や月単位などの所定労働時間のみ通算して、割増賃金の支払いを義務付けること)

◆各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること

一方で、割増賃金の支払いについては、日々の計算ではなく計算や申告を簡易化することなども考えられるようです。

「副業・兼業に関わる労働時間管理」については、現行の通算ルールを見直し、各事業所で柔軟かつ適正に取り組みやすいような独自の制度設計ができる様に配慮される見込みです。現段階では未だ方向性、選択肢が示されるのみですが、今後の展開が注目されるテーマと言えそうです。

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