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掲載日:2019-09-11

働き方改革を背景に、深刻化する「しわ寄せ問題」政府主導で防止策が策定されました。

働き方改革関連法の施行により、着実に進む職場改革。大企業を中心に改革が進展する一方、中小事業者における様々な「しわ寄せ問題」が深刻化しています。こうした背景を受け、「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」が、厚生労働省・公正取引委員会・中小企業庁の連携により策定されました。そこで今回は、企業におけるしわ寄せ防止策を参考に、この「しわ寄せ問題」について把握しておきましょう。

【働き方改革に端を発する「しわ寄せ」今、中小企業で起こっていることとは?】

労基署や労働局に開設される相談窓口には2019年4月以降、中小企業から寄せられる「業務量の急増」「短納期での発注」「無理な人員派遣の要請」等に関わる相談件数が増加傾向にあります。これらは大部分が、働き方改革を背景とした「しわ寄せ問題」と捉えて間違いないでしょう。

改正労働基準法の施行により、大企業では2019年4月から「時間外労働の上限規制」が導入されました。これにより従業員の労働時間を制限する必要が生じています。一方で、中小企業等においては2020年4月まで上限規制導入が猶予されているため、働き方改革対応の必要に迫られる大企業の下請企業にしわ寄せが生じている、というわけです。

働き方改革は「大企業だけに必要な取り組み」ではなく、大企業以上に人手不足に悩む中小企業・小規模事業者にこそ必要なものです。大企業の働き方改革推進のために、「本当に改革が必要な場所が変わらない」というのはまさに本末転倒と言えます。

【しわ寄せ防止総合対策でおさえるべきポイントは4点】

冒頭でも触れたとおり、下請け企業等に生じるしわ寄せ問題の増加を受け、厚生労働省・公正取引委員会・中小企業庁によって「しわ寄せ防止総合対策」が策定されました。今後は本指針を基準として、「働き方改革の推進」と「取引適正化」が目指されます。それに向けた「しわ寄せ防止総合対策」の柱は、以下の4点です。

(1)関係法令等の周知広報
・労働局・労基署があらゆる機会を通じて、労働時間等設定改善法に加え、下請中小企業振興法に基づく
「振興基準」等についてもリーフレット等を活用して周知
・「しわ寄せ防止キャンペーン月間」の設定による経営トップセミナーの開催等の集中的な取組
・労働施策総合推進法第10条の3に基づく協議会等における課題の共有と地域での取組の推進

(2)労働局・労基署等の窓口等における「しわ寄せ」情報の提供
・下請等中小事業者から、大企業・親事業者の働き方改革による「しわ寄せ」に関する相談が寄せられた場合には、相談情報を地方経産局に情報提供

(3)労働局・労基署による「しわ寄せ」防止に向けた要請等・通報
・労働局から管内の大企業等に対し、「しわ寄せ」防止に向けた要請等を実施
・下請事業者に対する監督指導において、労働基準関係法令違反が認められ、背景に親事業者による下請法等違反行為の存在が疑われる場合には、公取委・中企庁に通報

(4)公取委・中企庁による指導及び不当な行為事例の周知・広報
・大企業の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのコスト負担を伴わない短納期発注等の下請法等違反の「しわ寄せ」については、公取委・中企庁が、下請法等に基づき、厳正に対応
・実際に行った指導事例や不当な行為の事例(べからず集)の周知・広報の徹底

参考:中小企業庁「「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」を策定しました ~厚生労働省・中小企業庁・公正取引委員会 が連携し、大企業等による「しわ寄せ」防止を徹底~」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2019/190626torihiki.htm

【指針では、「しわ寄せ事案」への対応強化を明言】

大企業から下請け等事業者に対する「しわ寄せ」については、今後、下請法違反事例として厳正に対応されることになります。しわ寄せ防止総合対策に明記されている内容は、下記の通りです。

●労働時間等設定改善法に基づく重点的な要請等
労働局は、管内の大企業等を個別に訪ね、労働時間等設定改善法第2条第4項の取引上必要な配慮をするよう努めなければならないとする規定に関する要請等を重点的に実施する。

●下請法等違反の疑いのある「しわ寄せ」事案に対する厳正な対応
公正取引委員会・中小企業庁は、下請法等の違反の疑いのある「しわ寄せ」事案の情報に接した場合には、当該事案に対して厳正に対応する。
※「厳正な対応」については、再発防止勧告や企業名公表などが想定されています。

今号でご紹介したしわ寄せ防止対策は、会社規模に関わらず、社会全体で働き方改革を推進していく上で重要となる指針です。事業主様や人事労務のご担当者様であれば、全体版をご確認いただき、対応のポイントをおさえていただくことをおすすめします。

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