ビジネス支援

掲載日:2017-05-17

決算予測の中で決算対策を

 「決算対策」には、ムダな税金を納めない為の「節税対策」と、融資や資金繰りを円滑に行うための「銀行対策」があると言われています。しかしこれらのことは決算の直前に行うものではありません。
 1年間の周到な準備と財務管理がしっかりなされて初めて決算対策と言えるのです。
 決算対策の代表的なものに決算賞与があります。
 決算賞与は、1.事業年度終了日まで従業員全員に賞与支給金額を事前に通知 2.損金経理(賞与/未払金) 3.決算日翌月末まで実際に賞与が支払われていること。以上が要件となっています。
 しかし1の「決算日までに賞与支給金額を事前通知」をおざなりにしている会社が多いようです。しかしこの1の要件が近年の税務調査で論点になるケースが多発しています。社員個々人への聞き取り調査等を行い、決算賞与が否認された税務調査もあります。
 決算日までに金額を通知するためには、例えば、9月決算の会社では、決算予測をし、9月20日ぐらいまでに決算賞与の金額を決定し、9月25日ぐらいまでに賞与計算をして、9月30日までに、各人に決算賞与支給明細か社内メール等、日付記録が残るもので支給金額を事前に通知しなければなりません。決算予測は11ヶ月の経過月実績数値と1ヶ月の未経過月予算数値より分析できます。
 脱税と節税ははっきりと違います。
 脱税とは1.資料・帳簿記録の改ざん 2.決算後の操作を指します。いかなる理由があろうと「資料・帳簿記録の改ざん」「決算後の操作」は脱税です。
 脱税でない事前決算対策には、経過月実績+未経過月予算という「決算予測システム」が不可欠となります。
 決算予測システムは以下のしくみです。

 月次定例の予実会議(予算と実績を管理する会議)では、経過月の実績数値+未経過月予算数値=正確な決算予想数値・予想利益・予想税額をもとに決算対策を練ります。

1.役員報酬のとり方

社長の給料と奥様の給料を同額にした場合が、いちばん税金が 少ない。
中小オーナー企業の税引前利益と深く関わっているのが、役員報酬、 つまり社長の給料です。 社長の給料は経費になります。また、一般的に会社の利益に対する税率より個人の給与に対する税率のほうが低くなります。そのため、会社・個人トータルで税額を抑えるために、社長の給料を高く設定するのはよくあることです。
 しかし、いくら会社より税率が低いといっても、高額の給与だとそれなりの税金がかかります。そこで、社長の給料の高額化を避けるために中小オーナー企業でよく行なわれるのが、社長の親族、特に奥様に給料を支払う方法です。
 では、いくらぐらい払うのがいちばんトクなのでしょうか。
 社長と奥様で、合計1,000万円の年収の場合を見てみましょう。年収の全額を社長の給料としたケースから、社長と奥様の給料を同額としたケースまで試算してみます。合計の税負担が最も少なくなるのは2人が同額の場合です。奥様の給料は、できるだけ社長に近づけたほうがお得という結果が得られるのです。
 ただし、役員報酬は不相当に高額な場合はその不相当な部分は経費と認めないとされており、形式と実質で判定されます。
 では、いくら以上の役員報酬が「不相当に高額」とされるのでしょうか?

 以上の条件に照らし、役員報酬として相当であると認められる金額以内となっていることです。

※実務上一番多いケー スは、「103万円の壁」と言われている月額役員報酬85,000円でしょうか。 家族役員に法人の経営に参加してもらい1人月85,000円 年額1,020,000円であれば、給与所得控除65 万円、基礎控除38万円の範囲内で所得税0円、配偶者・扶養控除も受けられ、社会保険の加入もなしと大きな節税、経費削減効果があります。さらに一定規模の役員であれば、小規模企業共済に加入することができます。小規模企業共済とは、国が創った退職金制度で、全額確定申告の所得控除を受けられます。最高月7万円、年間84万円まで加入でき、年利1.5%の運用益が尽きます。65歳以降は老齢給付としていつでも解約可能ですが、20年の掛金期間が必要ですので45歳までの役員の方にはお勧めです。

 平成29年税制改正の目玉として「配偶者控除の見直し」が行われ、配偶者の年収限度が150万円に引き上げられました。しかし、社会保険加入義務130万円の壁(社会保険の扶養者になれず、保険加入義務発生)もあり、経営者の妻103万円の壁は存続することになりそうです。

2.社宅の家賃補助は、どこまでなら非課税か?

社宅の場合は、会社が一部負担すれば社員に課税されません。
◆会社が一部を負担することは可
 社宅の家賃は、全額社員負担でなく、会社が一部を負担するという形で現物給与を与えても課税されません。税法で社員が負担すべきと考える家賃は、役員と従業員の違い、面積の違いなどで、いくつかのケースに分かれます。

◆役員に社宅や寮などを貸したとき
 役員に対して社宅や寮などを貸す場合には、役員から1ヵ月当たり一定額の家賃を負担していれば給与として課税されません。
「小規模住宅」…床面積木造132面以下(木造以外の場合は99平方m以下)
下記の(4)が役員の負担すべき1ヵ月あたりの家賃になります。

◆解説:給与を下げて所得税を節税
 家賃月20万円の物件に入居する従業員について、会社が16万円家賃負担(本人自己負担4万)・給与を16万円下げた場合、給料及び家賃の合計は同じになり、法人税の負担は変わりません。しかし、役員・従業員の源泉税の負担額は月額約5万6,000円(275,335円-218,987円)年間で約67万2,000円も減少します。この他に住民税や社会保険料も減ることになるので、会社及び役員・従業員にとって双方の大幅な節税になります。会社・個人にとっても追加出費はゼロで、大きな節税効果を得ることができます。個人の給料がより高い場合、累進税率によりさらなる効果を得ることができます。デメリットは傷病手当金や老後の年金受取額が減少することです。
 社宅制度は、節税以外にも従業員の定着率の向上を図るという意味でも有効です。

3.未払賞与を計上して節税するポイントは?

決算賞与は未払いでも経費計上できる
 決算期末、業績好調で多額の利益が見込まれる場合、社員の努力に報いるためと節税の一石二鳥で決算賞与を支給しよう。というのは大いにあり得る話です。ただ急な話では資金繰りがつかず、期末に支給できないことも多いでしょう。
 かつては、「賞与引当金」を計上する方法で節税できましたが、その代わりに「未払賞与」を計上する方法で節税ができます。
 次の3つの条件を満たす処理を行った場合は、未払でも経費にすることができます。この方法を使えば、実際に賞与を支払っていなくても決算賞与の経費計上ができるのです。
 期末後1ヵ月以内に資金繰りの目途をつけて、決算賞与の支給を検討してください。期末から1ヵ月以内に支給すること、
 決算日までに各人に支給額を通知すること、の2点がポイントです。

◆未払いの決算賞与を経費計上する条件
以下を満たせば、経費計上できます。

1.決算期末日までに、支給額を各人別にすべての支給対象者に通知していること
2.通知した金額を通知したすべての支給対象者に対し、決算期末の翌日から1ヵ月以内に支払っていること
3.その支給額を、通知した期において損金経理処理していること

 近年、決算期末日までに支給額を事前通知しているか否かの調査が厳密になっています。また、期末までに、支給額を確定して、メ-ル等で各人に配信しておき、その記録を印刷しておくことが必要になっています。決算賞与を決算日までに確定するには決算予測が必要になります。

4.短期前払費用の活用

1年以内の(短期)前払費用は、継続的に適用することを条件として、支出時の経費とすることがでます。
<留意事項>
下記の要件をすべて満たす必要があります。
・契約の対象~支払利息・保険料・地代家賃・レンタル料など“時の経過とともに生じる役務の提供"であること
・支払条件~契約書で前払いという支払条件になっていること
・対象期間~支払日から1年以内のもの(注1)
・計上時期~支払日に損金計上すること
・経理方法~継続適用すること(注2)
(注1)1年分を超えて前払いした場合、直近1年分だけを当期の経費とすることはできず、翌期以降分全額が資産計上すべき前払費用となります。
(注2)少なくとも3事業年度は継続適用すべきです。
(注3)雑誌の年間購読料や税理士の顧問料などは、その内容が毎月等質・等量とはいえないので短期前払費用の適用対象外となります。
(注4)従来、リース料については、短期前払費用の対象でしたが、「一般的なリース取引」(所有権移転外リース)は資産購入とされリース期間による減価償却をするのが原則とされました。
 あくまでも減価償却の処理の一環であるため、リース料の支払いについては短期前払費用の取り扱い対象外となるのです。

5.経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

 経済産業省所管の機構が運営している保険制度です。掛金の全額が経費になり、解約返戻金も3.5年で満額戻ってきます。決算期前に1年分前払することによりで短期前払費用として全額経費にすることも可能ですので、240万円(掛金20万円×12ヶ月)までの利益圧縮策を探しているならまず検討すべきでしょう。節税対策に重点をおくなら生命保険に比べほぼすべてにおいて優秀です。
(制度の概要)
1.掛け金・・・月5,000円から20万円まで自由に選択できます。1年分前払することも可能です。
結果:毎月20万円と次年度分240万円、合計最大480万円の節税が可能となります。
注意)次年度前納する場合、毎回前納手続きが必要となります。
2.解約手当金・・・任意解約でも1年以上で80%、約3.5年掛け金で全額が戻ります。
3.積立限度額は800万円まで。800万円÷240万円で3年と3ヶ月で限度額に達します。
4.融資制度・・・得意先が倒産等した場合に掛金総額の10倍まで低利子で融資を受けることができます。
5.加入資格・・・引き続き1年以上事業を行っている中小企業者(会社・個人事業者)
6.税務上の取扱い・・・(会社)掛金は損金、解約手当金は益金、雑収入計上してください。
(個人)掛金は事業所得の必要経費、解約手当金は事業所得の収入金額
 掛金を1年分前払することによりその全額が損金・必要経費になります。前述した短期前払費用の適用。

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