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掲載日:2017-06-21

【提出期限は7月10日】平成29年度社会保険算定基礎届作成の手引き

【社会保険算定基礎届への準備は万端ですか?】

労働保険年度更新と時を同じくして、やってくるのが「社会保険算定基礎届」の作成・提出です。税理士事務所や会計事務所では自社に関わる処理の他、こうした手続きについて顧客からの相談を受けるケースもあるのではないでしょうか?

平成29年度は「社会保険の適用拡大」に伴い、従業員数500名超規模の企業において、算定基礎届作成にあたり変更点が生じています。事務処理上、直接的に影響が出るのは前述の大企業においてですが、中小企業への取扱いと混同しないよう、改正点を的確におさえておく必要があります。

【「パートタイマー等」を一括りにして考えてはいけません】

平成29年度社会保険算定基礎届のガイドブックは、下記よりご確認いただけます。

参照 : 日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(平成29年度)
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141225.files/santeiguideH29.pdf

内容は概ね例年通りとなっていますが、今年度初めて登場するのが「短時間労働者」に関わる文言です。ここで“短時間労働者=パートタイマー"とざっくり把握していると、届出書の記入を誤る原因となりますので、ご注意ください。昨年10月と今年4月の社会保険適用拡大に伴い、ひと口に“パートタイマー"といっても、算定基礎届記入上「短時間労働者」と「短時間就労者」の2種類に区別して考える必要が生じることになりました。

≪短時間労働者≫
特定適用事業所(※)に勤務するパートタイマー等であり、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満で、下記の4要件を全て満たす者。
1.週の所定労働時間が20時間以上あること
2.雇用期間が1年以上見込まれること
3.賃金の月額が8.8万円以上であること
4.学生でないこと
※特定適用事業所…同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12 ヵ月のうち、6ヵ月以上500 人を超えることが見込まれる事業所

参照:日本年金機構「短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大が始まります」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/20160516.pdf

<注意>平成29年4月より、特定適用事業所に該当しない事業所であっても、「労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること)に基づき申出をする法人・個人の事業所」または「地方公共団体に属する事業所」に勤務するパートタイマー等であれば、短時間労働者として社会保険適用拡大の対象となります。算定基礎届記入上、この場合の取扱いは下記の通りです。
・4月又は5月に雇用された被保険者
原則4月から6月までに支払われた報酬月額により標準報酬月額が決定
・6月1日から7月1日までに被保険者の資格を取得した人
「資格取得時の決定」により翌年8月までの標準報酬月額が決定されているため、定時決定の対象外

≪短時間就労者≫
1日または1週間の労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上である労働者。従来社会保険の適用対象であったパートタイマー等は「短時間就労者」にあたります。

以上、社会保険の適用拡大の影響を受けない事業所においては、「短時間労働者」は生じない点に注意が必要です。

【支払基礎日数「11日」の区分を用いるのは、社会保険適用拡大となる事業所のみ】

すでにご紹介したガイドブックを読み進めていくと、支払基礎日数について、新たに「11日」の区分が追加されていることに気が付きます。ここで、「パートさんには“11日以上"の基準を適用できるようになったんだな」と安易に考えてはいけません。

パートタイマー等については、「短時間労働者」か「短時間就労者」かの違いによって、基準とする支払基礎日数の区分が異なる点に留意しましょう。

■短時間労働者(法改正により、新たに社会保険の適用対象となったパートタイマー等)
算定対象は「支払基礎日数が11日以上の月」

■短時間就労者(従来社会保険の適用対象だったパートタイマー等)
算定対象は原則「支払基礎日数が17日以上の月」
例外的に、3ヵ月間とも17日未満であった場合には「15日以上の月」を対象とする

もっとも、短時間就労者については「1日または1週間の労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上」という大前提があるため、支払基礎日数を「11日」の基準で考える必要性は薄いかもしれません。しかしながら、たまたま支払基礎日数が15日以下となる月が生じてしまった場合に、短時間労働者への取扱いと混同しないようにしましょう。

【まとめ】

算定基礎届の記入・提出は毎年のこととはいえ、やはり年度ごとに変更が生じることも多いため、油断は禁物です。自社に関わる事務処理上はもちろん、顧客フォローの観点からも、常に知識をバージョンアップさせておくことは必須であると言えます。しかしながら、本業以外の分野における度重なる法改正、それに付随した運用上の取扱いの変更までを完璧にフォローするのは至難の業であると言えるでしょう。

現状、「事務所内に社労士が在籍していない」という税理士事務所、会計事務所においては、社労士との連携を検討されるのが得策です。労務・社会保険関連の専門家を味方に付けることで、御所にとっての新たな強みが生まれるはずです。

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