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掲載日:2017-09-06

“適切な対象”に“正しい手順”で!「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」を知る

無期転換ルールへの対応策として、昨今、“有期契約労働者の正規雇用転換"を検討される事業主様が増えてきています。こうした背景の中、注目されているのが「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」。今後の採用戦略にも、大いに活用できる制度です。

まず、本助成金を申請するための条件と手順をご紹介しましょう。

【キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?】

そもそもキャリアアップ助成金とは、有期契約労働者やパートタイマー等の短時間労働者、派遣労働者等への正社員化、人材育成、処遇改善を実施した事業主に対する助成です。正規雇用と比較すると不安定な立場に置かれる非正規雇用労働者に対する、“キャリアアップの促進"が目的とされています。

キャリアアップ助成金の各コースの中でも、比較的受給を目指しやすいとされているのが「正社員化コース」であり、支給額は下記の通りとなっています。「良い人材は積極的に正社員登用したい」とお考えであれば、ぜひ活用したい助成金であると言えますね。

1.有期 → 正規:1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
2.有期 → 無期:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
3.無期 → 正規:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
※< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は大企業の額
参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」13ページ
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000169218.pdf

【「当初から“正規雇用"が前提となる有期雇用契約」「事業主等の身内」は対象外です!!】

しかしながら、本助成金については、労働者や事業主の状況によってはそもそも「適用除外」となってしまうケースもあります。この要件をチェックせずして、申請に向けての準備を進めることはできません。

下記のキャリアアップ助成金マニュアル13ページから17ページより、本助成金の適用対象となる労働者、事業主の条件を確認しましょう。

参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」13~17ページ
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000169218.pdf

ここでは、「労働者について」の要件のうち、特に盲点となりがちな2つの条件を挙げておきます。

■ 正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと。
⇒雇入れの当初から、労働者に対し「6ヶ月後には必ず正社員にするから」等と約束した上で、有期雇用契約を締結してはいけません。キャリアアップ助成金を活用した正社員転換は、あくまで“自社の正社員転換制度の枠組みの中で、所定の条件を満たし、試験に合格すること"が必要となります。「助成金受給のためにとりあえず有期雇用で…」というのは、本来正規雇用を望める労働者をいたずらに不安定な立場に置くことになり、本助成金の趣旨に反すると言えます。
※新規採用への適用時における注意点は、次号でご紹介します

■ 転換または直接雇用を行った適用事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族 以外の者であること。
⇒「3親等以内の親族」とは、具体的には配偶者及び3親等以内の血族・姻族を指します。具体的な範囲は、協会けんぽのウェブサイトに同範囲を紹介する図が掲載されていますので、参考にしてみてください。
参照:協会けんぽ「被扶養者とは」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230

【キャリアアップ助成金(正社員化コース)申請の流れ】

続いて、受給に伴う手続きの流れをご紹介しておきましょう。原則は、「社内に正社員等への転換制度を作り」→その制度に則って「労働者を正規雇用等に転換」し→「6ヶ月雇用後に申請する」といった流れとなります。

1.キャリアアップ計画の作成・提出
・雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置。
・むこう3年~5年のキャリアアップ計画を策定(主な対象者・転換や直接雇用の目標数・期間・目標達成のための取組み等、具体的に決めていきます)。
・「転換・直接雇用を実施する日まで」に、労働局長の確認を受ける。

2.就業規則、労働協約等の整備(キャリアアップ計画提出以前に規定した場合も対象)
・就業規則等に「試験等の手続き、対象者の要件、転換実施時期」に関わる規定を設け、労働基準監督署に改訂後の就業規則を届け出ます。
※必要な要件が盛り込まれていない場合、本助成金の対象外となってしまうこともあります。必ず専門家のチェックを受けましょう

3.正社員等転換制度にのっとり、希望者の募集と試験等の実施、合否判定
・キャリアアップ計画や就業規則等に規定した通りに、正社員等転換を行います。

4.合格者に対し、正規雇用等への転換・直接雇用(派遣労働者を対象とする場合)の実施
・選考の合格者に対し、転換後の雇用契約書や労働条件通知書を交付します。
※有期雇用→無期雇用へ転換する場合は、転換後に基本給を5% 以上増額する必要があります。

5.転換後6カ月間の雇用(賃金支給)
・転換後、正規雇用として6ヶ月雇用した後に、支給申請をすることができます。
・基本給の他、時間外手当等も正しく算出して支給します。

6.支給申請・決定
・転換後6ヶ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヶ月以内に支給申請します。この期間を過ぎると、申請することができないので注意が必要です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)では、“適切な対象"に対し、“正しい手順"での正規雇用、支給申請を進めていくことが大前提となります。加えて、“必要書類"を正しく整えておくことも重要です。

こうした制度の特徴などを踏まえて発生する、「新規採用に伴って、同助成金をどう活用すればよいのか?」「その際の注意点は?」「そもそもキャリアアップ計画って?」といった皆様の疑問について、次回に解説したいと思います。どうぞご期待ください。

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