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掲載日:2017-09-13

新規採用への活用法とは?続報「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」

前号にてご紹介した、有期契約労働者やパートタイマー等の短時間労働者、派遣労働者等への正社員転換を実施した事業主に対する助成「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」。今号では、この助成金を新規採用に活かす方法と注意点について解説していくことにしましょう。

【新規雇用にどう活かす?キャリアアップ助成金(正社員化コース)】

前号でご紹介した通り、キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、下記の要件を満たして初めて支給申請が行える助成金です。
※本助成金の対象となる労働者は「有期契約労働者」に限られませんが、ここでは分かりやすく「有期契約→正規雇用」のパターンで記載します

◇ すでに一定期間雇用継続している有期契約労働者を、
◇ 就業規則等に定める制度に基づき
◇ 正規雇用労働者に転換し
◇ さらに一定期間雇用を継続した

そこでよく挙がってくるのが「既存の有期契約労働者しか対象にならないのか?」といったご質問です。この点、本助成金は新たに採用する労働者にも適用可能であると言えます。具体的には、下記のステップを経ることになります。

(1)管轄労働局にキャリアアップ計画を提出し、確認を受ける
(2)就業規則等に正社員転換制度を規定する
(3)「有期契約労働者(期間の定めあり)」を求人する
(4)継続6ヵ月以上勤務した有期契約労働者のうち、正社員転換希望者に対し、社内制度にのっとった試験を実施し、合否を判定する
(5)合格者を正規雇用(期間の定めなし)に転換し、その後さらに6ヵ月間継続して雇用する(6ヵ月分の賃金を適正に支給する)
(6)正社員転換後、6カ月の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請

求人に関しては、トライアル雇用助成金のようにハローワークや所定の職業紹介事業者等を通す必要はありません。あくまで、「キャリアアップ計画を提出する」「社内で正社員転換制度に関する規程を設ける」「新規に雇い入れた有期契約労働者に対し、適切な時期に試験を実施する」「合格者を正規雇用に転換し、さらに半年継続雇用する」というステップを経ることで申請が可能となります。御社の採用戦略と併せて、上手く活用する道はあるのではないでしょうか?

【正しく把握、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の転換例】

ところで、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の適用は、「有期契約→正規雇用」のパターンのみに限定されるものではありません。

■ 転換パターンとそれぞれの支給額
※< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は大企業の額
1.有期 → 正規:1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
2.有期 → 無期:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
3.無期 → 正規:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)

参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」マニュアル13ページ
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000169218.pdf

ちなみに、よくある「パート→正社員登用」は、上記のうち3.に該当するケースが大半です。パートでもアルバイトでも、契約期間が明確に定められていなければ「無期契約労働者」に該当します。「有期雇用契約=非正規の短時間勤務(パートタイム)契約」ではありませんので、誤解のないようにしておきましょう。
また、2.の「有期→無期」のケースで助成金の支給申請をする際には、「転換前の基本給より5%以上昇給させた事業主であること」が要件となりますので、ご注意ください。

さらに、派遣労働者を派遣先で直接正規雇用労働者として雇入れた場合も対象となります。 この場合、上記1.3.のパターンに該当し、それぞれの額にさらに「1人当たり28万5,000円<36万円>(大企業も同額)」の加算を受けることができます。
○ 有期雇用 → 正規雇用:1人当たり 85.5万円<108万円>(71.25万円<90万円>)
○ 無期雇用 → 正規雇用:1人当たり 57万円<72万円>(49.875万円<63万円>)

参照:厚生労働省「派遣労働者を正社員として直接雇用しませんか」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000162426.pdf

【キャリアアップ助成金(正社員化コース)を新規雇用に活用する際の注意点】

採用当初を「有期雇用契約=契約期間を設定」とすることで、事業主側にとっては採用リスクを軽減させることが可能となります。当初から正社員として雇入れる場合、たとえ試用期間を設定したとしても、相当の理由がなければ労働契約を解除することは難しい上に、労使トラブルの火種ともなり得ます。
一方、正規雇用と比較すると不安定な雇用形態と捉えられやすい有期雇用契約は、求職者の目から見てどう映るかも考慮しておく必要があります。

いずれにせよ、有期契約労働者の活用やキャリアアップを、御社の人事戦略に落とし込めるのであれば、本助成金は積極的に活用すべきであると言えるでしょう。

新規採用に伴い、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請を見据える場合に、注意すべき3点を下記に挙げておきます。

□ 採用に先立ち、新規雇用や正規雇用転換に関する予定数を予め検討しておく
新たに雇用する有期契約労働者のうち、どの程度を正規雇用とする予定があるのかで、求人時のアナウンスが変わってくるでしょう。後述の通り「6ヵ月後に絶対に正社員になれる」と約束するのはNGですが、「有期契約労働者○名程の中から、正規雇用転換する予定数」「どのような試験を実施するか」等は求職者に説明できるようにしておいた方が無難です。

□ 採用したい人材を「有期雇用契約」とするのが適当かを熟考しておく
冒頭でも申し上げましたが、「有期雇用契約」は、求職者側にとってマイナス要素と捉えられることがあります。腰を据えて働きたいと考えている人材が同業他社への就職で迷っていたとして、業務内容や待遇にほぼ差はなし、一方は正社員、もう一方は契約社員の採用であったとしたら、どちらを選ぶでしょうか?助成金の条件に合わせるために「無期雇用契約」としても、求職者からみれば「なぜ正社員ではないの?」といった疑念につながる可能性があるでしょう。また、雇入れた人材が理想通りであったとしても、有期雇用契約であれば契約期間満了のタイミングで労働者が御社を離れていくこともあります。

□ 求人広告や採用選考において、「絶対に正社員になれる」というアナウンスを行わない
本助成金の対象となる労働者の条件のひとつに、「正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと」という要件が挙げられています。「正社員転換制度があって、それを利用して正社員になれるチャンスがある」旨を伝えるのは良いのですが、「必ず正社員にする」といったニュアンスで話を進めることはできません。

御社の新規採用に、キャリアアップ助成金(正社員化コース)はマッチしそうでしょうか?次号では、具体的に申請を検討する際にご質問の多い「キャリアアップ計画」について、解説することにしましょう。

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