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掲載日:2018-02-21

今春より本格化する「無期転換ルール」、対応は万全ですか?

平成25年4月1日施行の改正労働契約法に定められた「無期転換ルール」に基づき、企業においては、いよいよ平成30年度から本格的に対応が迫られることになります。有期雇用の従業員を抱える事務所の皆様、対応への準備は進んでいますでしょうか?

【そもそも無期転換ルールとは?】

無期転換ルールとは、有期契約労働者と同一の使用者との間で、5年を超える有期雇用契約が更新された時点で、労働者側に「期間の定めのない(無期雇用)労働契約への転換申込権」が生じるルールを指します。労働者が会社に対して無期転換の申込をすると、その時点で無期労働契約が成立。使用者はこれを拒否することはできません。

出典:厚生労働省「無期転換の準備、 進めていますか?」
http://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook_2017.pdf

出典先1ページ目の図のように、1年更新の場合には契約締結から5回目の更新時以降、丸5年の勤続を超えることになり、このタイミングで無期転換申込権が発生します。一方、一度の契約期間が3年間の場合、一度目の契約更新の段階で当該契約期間中に勤続5年を超えることになります。この場合、実際の勤続期間が5年に満たなくとも、最初の契約更新時以降に無期転換申込権が発生します。

ちなみに、同制度は改正法施行日である平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約から通算対象となり、それ以前の契約期間については加算されません。また、実際に無期転換されるのは、あくまで労働者からその旨の申込があったとき。雇用契約の期間が5年を超えたからといって、必ずしも転換しなくてはならないというわけではありません。

【無期転換ルールへの対応として、会社はなにをすべき?】

冒頭でも触れたとおり、平成25年から5年後にあたる平成30年より、順次無期転換権を有する有期雇用契約労働者が発生することになります。よって、期間に定めのある契約社員やパート・アルバイト等を雇用する事務所では、無期転換ルールへの対応策を検討しておく必要があります。

1.まずは「有期雇用契約の実態把握」から
御社では、有期雇用契約の労働者が何名いて、そのうち無期雇用を希望するのはどの程度の割合でしょうか?労働者の中には安定的な長期雇用を望む方がいる一方で、家庭の事情等からあえて「有期雇用」を望む方の存在も決して少なくありません。こうしたニーズの傾向を参考にしながら、実際の事業展開を鑑み、この機会に積極的に「有期→正社員」の転換を進めていくべきなのか、それともスポット的な役割として有期雇用の枠を既存のままにしておくべきなのか、実態に即した方針を検討されると良いでしょう。方針が定まると、今後の採用計画もより具体的に見据えることができるようになります。

2.御社における「無期雇用労働者」を検討する
無期転換ルールの本格化によって、このたび初めて「無期雇用」という区分の労働者が生じる事業所も出てくると思います。その場合、有期雇用や正社員等、従来の雇用形態で働く労働者との業務内容や待遇の差をどう設定するのか、事前にしっかり定めておく必要があります。この部分の定義が曖昧になると、従業員間のわだかまりや不満感を煽ることにもなりかねません。有期・無期・正規の区分を明確に定めておくことは、単に無期転換ルールへの対応のみならず、人事制度の明朗化、戦略的な人材活用といった観点においても有意義であるといえます。

3.雇用区分に応じた労働条件について、就業規則等を整備する
無期転換ルールに関わる方針や各雇用区分の定義が定まったら、社内規程の整備を行いましょう。全労働者共通の制度の他、特定の雇用区分のみに適用される事項についてはその旨を分かりやすく記載しておく必要があります。就業規則の改訂と併せて、賃金規程や人事評価規程、賞与規程や退職金規程等の諸規程の見直しも忘れずに行いましょう。

4.御社における無期転換ルールの運用について、周知徹底を
社内で定めたルールは、労働者に対して十分に説明を行いましょう。特に、無期転換ルールの対象となり得る有期雇用契約者に対しては、今後どのようなキャリアパスを経ることができるのかを見通せるようにするのが基本です。もっとも、積極的なキャリアアップを望まない労働者に対しては、現状と同様の労働契約で働けるよう配慮することも必要になるでしょう。

以上、大まかに無期転換ルールの導入手順について解説しました。
詳細は、下記リーフレットをご参照ください。

参考:厚生労働省「無期転換の準備、 進めていますか?」
http://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook_2017.pdf

【無期転換ルールを背景に進む、「多様な正社員制度」の導入】

無期転換ルールの本格化を前に、「有期→正社員」の転換を推奨するスタンスの企業が増えています。特に「無期雇用」という雇用区分の設定が難しい会社においては、積極的に正社員化を進めることで対応をするケースも多くなってくることでしょう。

ただし、有期雇用として雇い入れられた労働者の場合、フルタイムかつ期間の定めのない正社員としての勤務に不安を感じる方がいることも事実です。例えば、家庭で育児や介護を担っていたり、自分の意志としてバリバリ働くことに抵抗があったり等、有期雇用の労働者の中には有期雇用にこだわるべき事情を抱える者も少なくないでしょう。

このようなケースへの対応策として、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスを重視した「多様な正社員制度」の導入は有意義であるといえます。多様な正社員とは、正社員としての地位を得ながらも、職務・勤務地・労働時間を限定した働き方をする労働者を指します。必要に応じて、「多様な正社員」の活用を視野に入れるのも得策でしょう。

参考:厚生労働省「多様な人材活用で輝く企業応援サイト」
http://tayou-jinkatsu.mhlw.go.jp/various-regular-employment/

無期転換ルールの本格化まで、あとわずか。
この機会に、御社の人材活用を見直されてみてはいかがでしょうか?

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