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掲載日:2018-03-14

税理士事務所・会計事務所も知っておくべき!「特定労働者派遣事業」から改正後の「労働者派遣事業」への切替手続き(1)

平成30年9月30日の改正労働者派遣法施行に伴い、現状の特定派遣事業者は新たな労働者派遣事業の許可を得なければ派遣業を継続することができなくなります。許可申請自体は社会保険労務士の業務ですが、例えば「資産要件の確認」については税理士事務所・会計事務所宛にお問い合わせがあるのではないでしょうか?

本稿では、税理士事務所・会計事務所も知っておくべき、派遣事業許可申請の基本要件とスケジュールについて解説します。お客様からお問い合わせがあった際、基本的な部分については的確なアドバイスを行い、申請作業に関しては社労士にお繋ぎください。

【まずは「欠格事由」に該当しないことが不可欠】

派遣事業許可申請の準備に先立ち、まず確認すべきは「欠格事由に該当しないこと」です。万が一、いずれかの事項に該当すれば、たとえその他の要件を満たそうとも申請を進めることはできません。通常、「大半が該当することはないから」と確認が甘くなりがちなポイントではありますが、必ず確認しておくことが肝心です。

項目が多岐にわたるため、ここではリンク先をご紹介しておきます。

参考:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために_欠格事由」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000111997.pdf

【労働者派遣事業許可申請時の「資産要件」】

派遣事業関係で寄せられるお問い合わせの多くは、おそらく「資産要件」に関するものでしょう。労働者派遣事業許可申請に伴い、必要な資産要件は下記の通りです。

(1) 資産の総額から負債の総額を控除した金額(基準資産額)が、「2,000万円×派遣を行う事業所数」以上であること
 ※資産総額から、繰延資産及び営業権は除きます
(2) 上記の基準資産額が、負債総額の7分の1以上であること
(3) 現預金額が、「1,500万円×派遣を行う事業所数」以上であること
 ※ただし、特定派遣からの切り替えに限り、配慮措置あり
 1つの事業所のみを有し、常時雇用している派遣労働者が10人以下である中小企業事業主(当分の間)
 基準資産額:1,000万円、現金・預金の額:800万円

上記の要件を満たしていることを、直近の決算書の「賃借対照表」より確認できるようにします。また、配慮措置を受けて要件を満たす場合、許可を受けた向こう3年間のうちに事業所数や派遣労働者数が要件にある数を超える際には、その時点で配慮措置を除いた本来の原則である資産要件で許可申請をする必要があります。また、配慮措置を受けられるのは「特定からの切り替え」のケースに限られます。新規の労働者派遣事業許可申請には適用できません。

【その他、労働者派遣事業許可申請時に満たすべき要件】

労働者派遣事業許可申請時に求められる要件は、資産のみではありません。

<事業所要件>
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないこと
・事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上あること
・事業所内のレイアウトが、派遣事業を行うにふさわしいものであること

<キャリア形成支援制度>
・すべての派遣労働者が利用可能な、職業生活の設計に関する相談窓口を設置すること
・相談窓口には、キャリアコンサルティングの知見を有する担当者を配置すること
・派遣労働者のキャリア形成を念頭においた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めること
→すべての派遣労働者を対象としたもの
→有給かつ無償の教育訓練であること
→派遣労働者のキャリアアップに資するものであり、長期的なキャリア形成を念頭においたものであること

出典:厚生労働省告示第391号
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000099067.pdf

実際の教育訓練については、ボリュームや内容に定めがあります。社会保険労務士は、事業主様と相談の上、許可申請に通るような教育訓練をご提案しています。

<派遣元責任者要件>
・未成年者でなく、労働者派遣法6条の第1号から第12号に定める欠格事由 に該当しないこと
・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則第29条で定める要件、手続きに従って派遣元責任者の選任がなされていること
・住所及び居所が一定しない等、生活の根拠が不安定でないものであること
・適正な雇用管理を行ううえで支障のない健康状態であること
・不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのないものであること
・公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行う恐れのないものであること
・派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと
・一定の雇用管理等の経験等 があること
・派遣元責任者講習を受講して3年以内であること
・外国人にあっては、一定の在留資格のあること

出典:一般社団法人日本人材派遣協会「派遣元責任者とは」
https://www.jassa.or.jp/employer/setsumei.html

その他、マニュアルには派遣元事業主の要件に関する記載がありますので、あわせてご確認ください。
参考:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai06/dl/manual.pdf

【労働者派遣事業許可申請のスケジュール】

労働者派遣事業の許可は、「申請書受理月の3ヶ月後の1日付」でおります。具体的なスケジュールは下記の通りです。

3月 申請書受理

4月 労働局内審査(書類審査・実地調査)

5月 厚生労働省内審査 問題なければ下旬に許可証交付

6月 1日付許可

ただし、一般の企業においては、「申請書受理」に至るまでにも想像以上の時間を要すことがあります。加えて、今秋に予定される特定派遣の廃止に伴い、現在申請数が増加している関係から、審査にさらに時間を要すことが予想されます。要件を満たせるのであれば、早めに申請準備を進めるのが得策です。

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