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掲載日:2018-06-27

勘違いからの法違反多数!正しく理解すべき「管理監督者」と「管理職」の違い

「管理職だったら、残業代は出さなくて問題ない」

現状、このような認識で労務管理をしている事業所があったとしたら、かなりの確率で違法状態であると考えて良いでしょう。確かに労基法上、「管理監督者」であれば労働時間等の制限を受けない立場として扱われます。しかし御社における「管理職」が必ずしも法律上の「管理監督者」に該当するとは限りません。意図しない違法状態とならぬよう、「管理監督者の定義」について正しく把握しておきましょう。

【ご存じですか?「管理監督者の3要件」】

それでは労基法上、「管理監督者」とはどのように定義されているのでしょうか?東京労働局のリーフレットには、管理監督者の要件として下記3点が明記されています。

〇 経営者と一体的な立場で仕事をしている
〇 出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
〇 その地位にふさわしい待遇がなされている

参考:東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 ~管理監督者編~」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/seido/kijunhou/shikkari-master/pdf/kanri-kantoku.pdf

「経営者と一体な立場」というと若干曖昧ですが、具体的には…

〇 経営者から管理監督、指揮命令にかかる一定の権限を委ねられている
〇 人事に関わる責任と権限を有している

などの要件が挙げられます。

役職と実際の権限のミスマッチが問題視される“名ばかり管理職"に象徴されるように、たとえ社内で管理職の肩書があっても、実態が伴っていなければ管理監督者としては認められません。

管理監督者であれば「時を選ばず経営上の判断や対応が要請され、労務管理においても一般労働者と異なる立場にある」といった考え方の下、労働時間や休憩、休日に関わる規制の枠を超えた仕事の仕方が認められます。現状、管理職であっても通常の労働者同様、始業・終業の時刻や遅刻・早退等に管理が及んでいるならば、管理監督者性は薄いと考えざるを得ません。

もちろん、過重労働防止や深夜割増賃金算出の観点から、管理監督者であっても相応の勤怠管理は必要です。しかしながら、「遅刻・早退等により減給の制裁や、人事考課でのマイナス評価など不利益な取扱がされている」「労働時間に関わる裁量が認められない」「会社の就業規則に則って働く部下の勤務形態と比較して裁量が認められない」などの要件を満たしてしまうのは問題です。

加えて、管理監督者の従事する業務を鑑みれば、定期給与や賞与、その他の待遇については、一般の労働者との差異があって当然です。具体的な支給額に明確な基準はありませんが、会社規模や業種、他の労働者の給与額を勘案し、適切な額を設定する必要があります。少し古い資料にはなりますが、このあたりを考察した資料を下記にご紹介しておきます。

参考:日本総研『管理監督者層の人事労務管理マネジメント「管理監督者」をめぐる最近の動向』
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/service/pdf/288_2.pdf

【裁判で「管理監督者性」が認められたケースはごくわずか】

東京労働局のリーフレットには、管理監督者性が問題となった裁判例がいくつか紹介されています。ご一読いただき、御社における管理監督者の取扱いが適切なものであるかをご確認ください。

働き方や待遇の実態から、これまで裁判で管理監督者性が認められた例は多くありません。それほどまでに「労働者性」と「管理監督者性」の間には、大きな隔たりがあるものなのです。実際のところ様々なリスクを考慮すれば、中小企業においては「労基法上の管理監督者は存在しない」とみて労務管理を行っていく方が得策であるといえます。

出典:東京労働局「しっかりマスター 労働基準法 ~管理監督者編~」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/seido/kijunhou/shikkari-master/pdf/kanri-kantoku.pdf

一般的には「管理職だから残業代の支給対象」と扱われがちです。しかし労基法の観点からいえば、安易に「管理職=管理監督者」とできないことは上記にように明らかです。管理監督者としての不適切な取り扱いは、思わぬ労使トラブルの引き金となります。今一度、御社の労務管理体制を見直し、万が一問題を発見した場合には、早期に適切な方向へと是正を進めてまいりましょう。

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