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掲載日:2018-09-12

2021年にも「短時間労働者の厚生年金加入」が原則義務付けの動き

2016年、そして2017年と続けて行われた、短時間労働者(パート等)に対する厚生年金加入の適用拡大ですが、今月よりさらなる対象者拡大に向けて議論が行われることになりそうです。政府は2020年の法案提出を目標としており、法案が成立すれば最短で1年後の2021年にも施行とのこと。厚生年金への加入要件がさらに拡大されることで、短時間労働者であっても原則加入を義務付ける方向となる見込みです。

労使折半の社会保険料負担は、個人だけでなく会社にも大きな影響を及ぼします。さっそく概要を確認していきましょう。

【パート等の厚生年金加入、現状の適用要件は?】

冒頭で触れたとおり、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大は、2016年および2017年に行われています。ところが現状では原則「被保険者数が常時501人以上の企業に勤める人」が対象とされているため、中小企業においてはさほど影響が及んでいないケースがほとんどです。よって、本コラムをご覧の方の中には、昨年までの改正事項を把握できていない事業主様やご担当者様もいらっしゃるかもしれません。
※「被保険者数が常時500人以下の法人・個人の事業所」においては、「労使の合意」があれば、下記(1)~(4)の要件を満たす場合に加入できます

まずは、昨年までの改正によって、パート等の厚生年金加入要件がどのようになっているかを確認しておきましょう。

<2016年10月からの新たな適用対象>
勤務時間・勤務日数が常時雇用者の3/4未満で、以下の(1)~(5)すべての要件に該当する方
(1)週の所定労働時間が20時間以上あること
(2)雇用期間が1年以上見込まれること
(3)賃金の月額が 8.8 万円以上であること
(4)学生でないこと
(5)被保険者数が常時501人以上の企業に勤めていること

<2017年4月からの新たな適用対象>
次の(ア)又は(イ)に該当する、被保険者数が常時500人以下の事業所において、上記(1)~(5)すべての要件に該当する方
(ア)労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所
(イ)地方公共団体に属する事業所
※国に属するすべての事業所については、平成28年10月から適用拡大を開始しています。

参考:日本年金機構「短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用が拡大されています」
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/1.pdf

上記を踏まえ、今後、短時間労働者の厚生年金加入要件がどのように拡大される見込みであるかを把握しておきましょう。

【厚生年金適用拡大改正項目1:加入時の月収要件が「8.8万円以上」から「6.8万円以上」へ】

短時間労働者への適用拡大が目指される中で、見直しが行われるとされるのは「賃金月額」に関する要件です。

具体的には、「賃金月額8.8万円」→「月額6.8万円」というように、2万円の引き下げが検討されています。

年収ベースでいうと、約106万円から81万6000円へと要件が引き下げられる見込みです。保険料として毎月どの程度の支払が必要になるかは今後併せて議論されることになりますが、現状の保険料負担を鑑みれば、一人当たり概ね1万円弱(健康保険料・厚生年金保険料をあわせた折半額)を見積もるのが妥当といえそうです。下記URLに掲載されている「平成30年度保険料額表(平成30年4月分から)」も、ぜひご参照ください。

参考:全国健康保険協会「平成30年度保険料額表(平成30年4月分から)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h30/ippan4gatu_2/h30413tokyo_02.pdf

【厚生年金適用拡大改正項目2:「従業員数要件」の引き下げ又は撤廃】

さらに「企業規模要件」についても人数の引き下げ、もしくは撤廃される見通しとなっています。具体的なことは今後の議論の中で決定されますが、現状は対象外とされる会社にも今後適用が拡大される可能性は高いと言えます。

早ければ、2021年にも行われる短時間労働者への厚生年金の適用拡大。法改正により短時間労働者であっても原則、厚生年金への加入が必要になる見込みです。最終的な改正の行方次第では、パート従業員等を多く活用する企業への影響は大きなものとなりそうです。今後の議論を見守りつつ、採用計画や雇用管理等、組織としての対応を検討していきましょう。

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