会計×IT×人材 これからの働き方、そして仕事の在り方 マネーフォワードが厳選した三氏に伺う 会計業界の未来とは?

クラウドツールの提供を通じて、世の中の効率化を支援したい。

この想いはマネーフォワードがサービス開発をする際、いつも原動力となっています。ツールを利用していただくことで、使う方々の働き方や意識が変わる。働く環境も変わっていく。そうした中で、働くことの喜びも変わっていく。そんなサービスを目指し続けてきました。
実際に会計業界の最前線で改革を進めている方たちが業界の未来をどう捉えているのか、働き方がどう変化していくと考えているのかを伺ってみたい。そのような想いから、今回の企画が始まりました。
第一回はクラウド会計を活用して製販分離に成功された、はぎぐち公認会計士・税理士事務所の萩口代表。第二回は監査法人から独立後、自らクラウド経営分析ツールを開発されている株式会社ナレッジラボの国見社長。第三回は大手コンサルティング出身で、現在は中小企業向けの経営コンサルティングをされている株式会社スピリタスコンサルティングの野原社長をお招きして、様々な角度からお話を伺う、毎月一回のシリーズ三部作でお届けします。
インタビュアー
株式会社マネーフォワード 執行役員・株式会社クラビス CEO/菅藤達也
クラウド時代の製販分離とは?

今回のゲスト

はぎぐち公認会計士・税理士事務所/萩口義治氏
2003年会計士試験合格後、大手監査法人や中小コンサル会社を経て、日本橋にて2012年12月に独立開業。同時に株式会社HG&カンパニーを設立し、代表取締役に就任。「創業支援に特化した資金調達に強い会計事務所」として開業後、数多くの顧問先より厚い信頼を集めている。現在では、企業の創業期から成長期、上場、相続までトータルで専門サービスの提供を続けている。

監査時代に得られたチャンスと財産

菅藤:第一回のゲストとして、「会計事務所」の立場からのお話をお伺いしたいと思いまして、萩口先生にお越しいただきました。

萩口:菅藤さん肝いりの企画とお聞きしていたので、お呼びいただいて光栄です(笑)。

菅藤:ご協力ありがとうございます(笑)。萩口先生からは、会計事務所を経営されているお立場として今後どんな展開をお考えか。そこにITがどんな風に関わってくるのかなどお伺いしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

菅藤:まずは萩口先生の会計人としてのルーツからお聞きしてみたいのですが、そもそも会計士を目指したキッカケは何だったのでしょうか?

萩口:子供のころ「数字」が好きで。

菅藤:「数字好き」ですか!

萩口:はい、数字には法則があるということを、ゲーム的に感じていたのかもしれません。トランプとか、そういうものも好きでした。自分の将来を考えた時に、自分の強みを活かした分野でがんばろうと考えたんです。当時勉強は強みの一つだと思っていましたし、子供のころから好きだった「数字」に絡めて、一番難しい資格を目指してやろう。じゃあ公認会計士だと(笑)。

菅藤:大学卒業後に公認会計士二次試験を合格されて、新日本監査法人にご入社されたのですね。そこでは、どのような業務を担っていらっしゃったのでしょう?

萩口:大企業の監査業務に数多く関わらせていただきました。当時から仕事をする中で、「考える」ということを大事にしたいなと意識していました。答えのないような議案をみんなで考えていると、全体像の中から問題点が浮かび上がってきたり、そこを色々なメンバーとまた議論したりして。そういう仕事に面白味を感じていた時に出会ったのが、内部統制の仕事でした。

菅藤:私も事業会社の中で、そこに携わっていたことがあります。とても手間のかかる、大変なお仕事ですよね。

萩口:当時の私は、まだまだ1~2年目の新人。そんな新人が、いわゆる大企業の営業部長や購買部長、工場長といった方々にヒアリングして、一からフロー図と業務記述書を作っていくわけです。ですが、「監査人」の立場だったこともあり、聞けば何でも教えていただけたし、工場の中をはじめ色々な場所も見せていただきました。そういう中で少しずつ、「あ、世の中の会社って、こんな感じで回っているんだな」とか「こういうところにリスクって潜んでいるんだな」というような感覚を鍛えてもらいました。

菅藤:それは素晴らしいご経験ですね!なかなか一つの会社に勤めていても、普通は自分の部署のことしか見られないと思うんです。中の人でも見られないようなところを、外部の立場なのに見ることができる。会計士さんや税理士さんは、唯一そこに入っていける存在だと思います。

萩口:その時は「仕事だからやらなきゃ」と思うよりも「仕事のおかげで、こんなところにも入れるなんてラッキーだ」「ついでだから、こんなことまで聞いてしまおう」と。本当に当時の経験は役得でしたし、今でも大きな財産になっています。会計事務所の仕事でも、仕事って意識次第で色々な可能性が広がるものですよね。同じ入力業務をしていたとしても、「今何しているの?」と聞かれて「領収書の入力をしています」じゃなくて「経営者が世の中を変える、お手伝いをしています」と言えたら、気分が全然違うでしょう?そういう仕事をスタッフにもしてほしいと話しています。

クラウド会計の第一印象は、敵

菅藤:独立された頃は様々なご苦労もあったと思うのですが、「創業補助金の採択支援数が、都内会計事務所で最多(経産省 平成26年4月発表分)」であったり、現在ではご盛業されていますよね。事務所経営の秘訣みたいなものは、あるのでしょうか?

萩口:事務所経営の秘訣、というよりは私自身のスキルセットとして会計・税務以外にも、色々な勉強をするようにしています。会計士・税理士の勉強のほかに大前研一さんのアタッカーズ・ビジネススクールっていうところで3年くらい経営を学んだり、戦略やビジネスモデル、アントレプレナーシップなどを学んだり、集客やマーケティングについても学んだり…。なので、僕の作成する事業計画って税理士・会計士の範囲を超えていて、経営者の脳みそに刺激を与え、明日からの行動も変わっちゃうみたいな。その頃は仕事が他になかったので(笑)、そんな補助金の事業計画策定ばかりやっていたら1位になってしまいました、結果的に。

菅藤:経営戦略とか経営管理のやり方とか。経営そのものを学べる場にも積極的に参加していらして、それが顧問先のお客様の経営にも、自らの事務所経営にも直結したということでしょうね。もう一つ気になったのが、「マネーフォワードクラウド会計 50社への導入が関東で最速」という点なのですが。これは、どのような経緯があったのですか?

萩口:出会いは偶然なのですが、名南経営さんに「クラウド会計を開発している会社の社長が来るから、話聞きに来ない?」とお誘いいただき、辻さんの講演を聞きにいったのがきっかけです。それで詳しく聞いてみたら、「僕らの仕事なくなってしまうじゃないか!」と。正直、最初は敵に見えました(笑)。「こんなのいらないよ」って思うものなら、見向きもしなかったと思うんです。「これはヤバい。使える」と思うから、脅威に感じる。実際に使ってみると、自社の経理が目に見えて楽になりました。それで「ああ、時代はこっちに行くな」と。それならお客様のためにもなるから、最初から導入しようと決めました。

菅藤:私たちもメーカーとしてクラウドツールの開発に携わっていますが、「世の中の仕事すべてがAIにとって代わる」ということはあり得ないと考えています。この企画の根幹にもつながるのですが、普段の業務があって、AIはあくまでそれを支えるツールという位置づけです。そういった意味で、萩口先生はいち早く最新のITツールを導入されることで、事務所経営の効率化や製販分離などにもノウハウをお持ちのなのではないか、と考えています。その点いかがでしょうか?

萩口:新規のお客様もどんどん増え始めたころ、気がつくとスタッフの残業も増えていたんです。クラウドも使用していたのですが、いまいち効率化の実感も強く持てない。そういう状態が続いていた時期でした。
スキルのある人には「付加価値業務」に専念してもらえるサポート体制をつくりたい。そのためにはもっと、ITを効果的に活用して「代行業務」を効率化するのが必要です。であれば、この業務を担ってくれるスタッフを採用し、そのスタッフがITに精通してくれるようにすればいいのではないか…。これが最初の考えでした。

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