税理士の平均年齢は?平均年齢が高くなる理由や今後の展望などを解説!

2026年3月19日(記事更新日:2026年3月19日)

税理士の平均年齢は60歳を超えており、他の士業と比べても高齢化が進んでいます。税理士は定年がなく、経験や人脈を活かして長く働ける職業である一方、若手の参入が少ないことから年齢構成に偏りが生じています。

この記事では、税理士の平均年齢や年齢分布の実態を解説するとともに、平均年齢が高い理由や今後の業界動向、そして若手税理士に求められるキャリア戦略について整理します。今後10年で起こり得る業界の変化を把握し、自身のキャリア形成や採用戦略に役立ててください。

税理士の平均年齢

税理士の平均年齢はおよそ60歳とされており、業界全体が高齢化の傾向を強めています。ここでは、統計データをもとに税理士の年齢構成を確認し、どのような世代が業界を支えているのかを見ていきしょう。

税理士の平均年齢について

税理士会連合会が2014年に公表したデータによると、税理士の年齢構成は以下のとおりです。60代が最も多く、70代・80代も一定数を占めていることから、平均年齢が60歳を超える状況が明らかです。

年代割合
20代0.6%
30代10.3%
40代17.1%
50代17.8%
60代30.1%
70代13.3%
80代10.4%

データからも、現役税理士の半数以上が60代以上であることがわかります。一般的な企業であれば定年を迎える年齢層が、税理士業界では第一線で活躍しているのが特徴です。税理士は40代や50代で約35%を占めて「若手」と呼ばれるほど、平均年齢の高さが際立っています。

引用:日本税理士会連合会「税理士になろう」 

税理士試験の受験者/合格者の年齢分布

税理士の平均年齢が高い背景の一つに、税理士試験の合格年齢の高さがあります。税理士試験は、最低5科目の合格が必要な難関試験であり、資格登録前に2年間の実務経験も必要なため、資格取得までに10年以上かかるケースもあります。

令和6年度(第74回)税理士試験の受験者データによると、年齢分布は次のとおりです。

年齢層受験者数5科目合格者数
20歳以下1,526人1人
21~25歳6,255人47人
26~30歳5,775人94人
31~35歳4,990人103人
36~40歳4,668人104人
41歳以上11,543人229人
合計34,757人578人

受験者数では41歳以上が全体の約33.2%を占め、5科目合格でも同年代が最多となっています。30歳以下の5科目合格者は全体の約24.6%にとどまり、若年層の5科目合格者が相対的に少ない傾向が続いています。このことから税理士試験の受験者、5科目合格者ともに若年層が少ないことがわかります。

近年では働き方の多様化が進み、一つの資格に多大な時間を投資することへの懸念から、資格取得までに長い年月を要する税理士試験は敬遠されがちな背景もあります。結果として、税理士の平均年齢は上昇傾向にあり、若手層の不足が業界の構造的課題となっています。

引用:国税庁「令和6年度(第74回)税理士試験結果表」 

他の士業との平均年齢の比較

税理士の平均年齢は60歳を超えており、他の士業と比較しても高齢化が際立っています。弁護士や公認会計士は20〜30代が中心で若年層が多いのに対し、税理士や社会保険労務士(社労士)は中高年層が主力です。代表的な士業の平均年齢は次のとおりです。

士業現役の平均年齢
税理士約60歳以上
弁護士約30〜40代中心
公認会計士約30〜40代中心
社会保険労務士(社労士)約55.5歳
司法書士約54.6歳

他の士業と比べ現役の平均年齢が高い税理士業界では、若手人材の育成・参入促進が今後の発展に不可欠といえます。特にAI・クラウド会計の普及によって、若手税理士が新たな価値を生み出す余地は大きく、次世代の担い手として期待が高まっています。

税理士の平均年齢が高い理由

税理士の平均年齢が高い背景には、業界の構造的な要因があります。それぞれの理由を解説します。

定年退職がないため

税理士には定年制度がなく、一度資格を取得すれば生涯にわたって業務を続けられます。税理士資格は一度取得すれば、更新不要で有効期限がありません。他の士業と比較しても特徴的で、業界全体の平均年齢を押し上げる最大の要因の一つです。開業税理士であれば、自ら引退を選ばない限り現役で活動を継続できるため、60代・70代でも第一線で活躍できます。

また、税理士業は顧問契約によって長期的な信頼関係を築くビジネスモデルです。顧客側も担当者の変更を望まない傾向が強く、高齢税理士への継続需要が生じやすい環境があります。特に、経営者層も同年代である場合が多く、顧客との信頼関係がそのままキャリアの長期化を支えています。

実際、30年以上従事している税理士は多く存在します。生涯現役で働ける環境が、税理士業界の平均年齢を高く維持している要因といえます。

国税局や税務署のOBが多いため

税理士業界には、国税庁や税務署で長年勤務した後に独立開業する国税OB税理士が数多く存在します。国税OBは豊富な税務知識と実務経験を持ち、経歴に対して顧客からの信頼も得られることから、税理士として活動開始した際にすぐに実務を行えます。

国税OBが税理士になる主要な経路は、税理士試験の免除制度です。国税専門官(国税調査官・国税徴収官・国税査察官)として長年勤務すると、勤務年数に応じて試験科目の免除を受けられます。

主な免除条件は以下のとおりです。

勤務年数免除内容
10年以上または15年以上税法3科目
23年または28年以上指定研修修了により全5科目(税法3科目+会計学2科目)免除

23年以上の勤務を経て税理士資格を取得するケースが多く、登録時の年齢は50代以降になるのが一般的です。多くの場合、定年退職を機に税理士登録を行い、その後独立開業する流れとなっています。

国税OB税理士は、税務調査・徴収・査察などの経験を活かせるため、特定分野での信頼性が高く、クライアントから重宝されます。しかし、こうした構造が業界全体の高齢化を進める要因にもなっています。なお、公認会計士や弁護士も税理士登録が可能ですが、登録時の年齢層を押し上げているのは、国税OB層が大きな割合を占めていることが背景にあります。

税理士試験には年齢制限がないため

税理士試験は、40歳以上の受験者も毎年一定数存在します。令和6年度(第74回)税理士試験の受験者データによると、41歳以上の受験者は全体の33.2%です。

税理士試験には「科目合格制度」があります。5科目のうち、1科目ずつ合格すれば一生有効とされ、働きながら少しずつ合格を重ねることが可能です。この仕組みは社会人受験者にとっては非常に柔軟ですが、同時に資格取得まで長期間を要します。

実際、5科目合格までに10年前後かかるケースも珍しくなく、40代・50代でようやく合格・登録に至る人も少なくありません。資格取得時点で既に中高年層となる傾向が強まっています。年齢に関係なく挑戦できる点はキャリアの自由度を広げる利点である一方、業界全体の高齢化を加速させる一因にもなっています。

引用:国税庁「令和6年度(第74回)税理士試験結果表」 

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後継者が不足しているため

税理士業界では、深刻な「後継者不足」が続いています。少子高齢化の影響により、若年層の人口が減少し、税理士試験の難易度の高さが新規合格者数の減少を招いているのが現状です。

中小規模の税理士事務所では、所長以外に有資格者が在籍していないケースも多く、後継者候補の確保が困難です。親族内承継を望んでも、子どもや孫が税理士資格を取得できない、または継ぐ意思がない場合には、事務所の存続が難しくなります。

その結果、引退を望んでも引退に踏み切れない高齢税理士が増加しています。顧客の信頼を守るために事務所を閉鎖せず、最後まで自ら業務を続ける選択を取る人も少なくありません。近年では事務所M&Aによる承継が進みつつありますが、地方を中心に後継者不足は依然として深刻です。

税理士資格の新規登録者が減少し、世代交代が進まないことは、業界全体の高齢化をさらに押し上げる要因となっています。今後は若手税理士の育成と、柔軟な事業承継支援の仕組みづくりが不可欠です。

今後10年で税理士業界に起こる可能性があること

税理士業界は、今後10年で大きな転換期を迎えると予想されています。高齢税理士の引退増加と後継者不足に伴う業界再編(M&Aの加速)は、構造的な変化をもたらす要因となるでしょう。ここでは、今後起こり得る2つの主要な動きを解説します。

高齢税理士の引退増加による税理士不足の可能性

今後10年で最も顕著に現れるのが、高齢税理士の大量引退による人材不足です。現在、税理士全体の約54.4%が60歳以上であり、70代・80代の現役も珍しくありません。団塊世代(1947~1949年生まれ)を中心とした税理士が70代後半に差し掛かる今後の10年で、業界全体で多くの人の引退が起きる可能性が高いでしょう。

引退する税理士の多くは、数十年にわたって中小企業と信頼関係を築いてきたベテラン層です。後任を見つけにくく、顧客離れや対応遅延といったリスクが中小企業を直撃する懸念があります。地方では税理士の絶対数が少ないため、顧客が相談先を確保できない事態の発生も指摘されています。

若手税理士の育成・登録が追いつかなければ、中小企業向け税務支援に空白が生じ、経営の不透明化を招く可能性があります。税理士の高齢化は、単なる人材構成の問題ではなく、企業経営の安定や税務コンプライアンスに直結する社会的課題となりつつあります。業界としても、若手育成・事業承継・法人化の推進といった対策が急務です。

後継者不足の個人事務所のM&A増加

次に、個人事務所のM&A(合併・買収)増加が挙げられます。後継者が見つからず廃業を選択する税理士が増えており、その代替手段として「事務所売却」「事業承継型M&A」が急速に広がっています。

M&Aにより、買収側は既存の顧客基盤・ノウハウ・信用力を一括承継できます。売却側にとっても顧客を守りながら円滑に引退できるため、双方にメリットがあり、取引は増加傾向にあります。

若手税理士にとってはすでに顧客がついている事務所を引き継ぐことで、ゼロからの独立よりも安定したスタートを切ることが可能になります。一方、顧客データの移行、スタッフの雇用継続、文化の統合など、慎重な対応が求められます。今後10年は「個人事務所の淘汰と再編」「法人化の加速」が進む転換期となるでしょう。

税理士業界の将来性

税理士業界は今、世代交代とデジタル化の波を受けて、これまでにない変化の局面を迎えています。ここでは、今後の税理士業界の将来性を解説します。

若手税理士のニーズ増加

若手税理士は、柔軟な発想力やデジタルリテラシーを武器に、これまでにない付加価値を提供できる存在です。今後10年で団塊世代を中心とした高齢税理士が大量に引退することにより、既存の顧客基盤を引き継ぐチャンスが増加しています。

若手層にとっては、単なる「人手不足」ではなく、新規顧客獲得・事務所承継・M&A参入などのビジネスチャンスと捉えることができます。今後は、柔軟性・スピード・デジタル対応力を備えた若手税理士へのニーズが一層高まる見通しです。

DXやAIの台頭による業務効率化

税務・会計の分野では、クラウド会計ソフトやAI自動化の普及により、業務内容そのものが大きく変化しています。かつて手作業だった仕訳・記帳・申告も、現在は多くが自動化可能になりつつあります。

税理士は単純業務から解放され、より高度で戦略的な領域へ比重を移すことが求められています。今後は企業の財務戦略、M&A、事業承継、補助金活用などで経営パートナーとしての役割が拡大するでしょう。

新しい働き方の増加

税理士業界でも、リモートワークやオンライン面談、クラウドサービスの活用が一般化しつつあります。事務所へ勤務する働き方から、フリーランス・副業・複業といった多様な働き方に対応する事務所も、以前に比べて増加しています。

ライフイベントと仕事を両立できる柔軟な働き方や環境が整いつつあり、税理士業界全体の働き方改革が進んでいます。今後さらに多様な働き方が広がることで、税理士業界の持続可能性が高まることが期待されています。

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若手税理士のキャリア戦略で大切なポイント

税理士は定年のない職業であり、長期的に専門性を高めながらキャリアを積み上げることができます。若手税理士が将来にわたって活躍し続けるために、大切なポイントを解説します。

長期的なキャリアプランの設計をする

税理士業界は定年制度がなく、生涯現役で働ける専門職です。短期的な利益や案件数にとらわれず、10年・20年単位でのキャリア設計を行うことが重要です。

若手税理士のキャリアパスは多岐にわたります。独立開業して自身の事務所を構える道、大手税理士法人で管理職を目指す道、企業の経理部門やCFOとしての「企業内税理士」として活躍する道、あるいは経営コンサルティングや資産承継などの分野で専門特化する道など、幅広い選択肢があります。

重要なのは、自分がどの領域で価値を提供したいかを早期に明確化することです。顧問先との信頼構築や専門分野の深耕には長い時間が必要ですが、これを意識的に積み重ねることで、安定した顧客基盤と信頼を築くことができます。ベテラン税理士の多くが、長年にわたる信頼と実績を資産として活躍しているように、若手のうちから長期視点を持つことが成功の鍵です。

テクノロジーの活用

近年、税理士業界ではAIやクラウド会計の普及により、業務効率化が急速に進んでいます。若手税理士は、こうしたIT・AIツールを積極的に活用できる点が大きな強みです。単純作業を自動化し、より付加価値の高い業務に時間を使うことで、生産性と顧客満足度を同時に高めることが可能です。

また、SNSやYouTube、ブログなどのデジタル発信を通じて、自身のブランディングや新規顧客獲得を行う若手税理士も増えています。動画やコラムで専門知識を分かりやすく伝える発信は、顔が見える専門家としての信頼構築にも有効です。オンライン相談やリモート対応の仕組みを整えることで、全国どこからでも顧問契約が可能になります。

テクノロジーの活用は単なる効率化ではなく、キャリアの選択肢を広げる戦略ツールとして位置づけることが重要です。

専門性や特化したジャンルを持つ

AIやDXの普及によって、記帳・申告などの定型業務は今後ますます自動化されます。その中で若手税理士が選ばれ続けるためには、明確な専門分野の確立が不可欠です。

相続税・事業承継・M&A・国際税務・医療法人会計・スタートアップ支援など、専門性の高い分野で実績を積むことで、他の税理士との差別化が図れます。業務効率化で生まれた時間をこうした高付加価値領域の研究や実務に充てることで、自身の市場価値を高めることができます。

また、弁護士や社労士、行政書士など他の士業と連携し、ワンストップ型のアドバイザリーサービスを提供できる体制を構築することも有効です。単なる税務代理人から経営パートナーへ立場を高められれば、顧客との関係もより長期的かつ戦略的になります。

トレンドを常に学び、専門性を深化させる姿勢こそ、若手税理士が長く選ばれ続けるための最大の武器です。

よくある質問

「税理士の平均年齢」や「定年退職の有無」などはよくある質問です。税理士業界の特徴を理解し、将来のキャリア設計や業界動向の把握に役立てましょう。

Q.税理士の平均年齢は何歳ですか?

A.平均年齢はおよそ60歳以上です。税理士資格に年齢制限がないことや、国税庁や税務署で長年勤務した国税OBが、定年退職後に50代や60代で税理士として活動を始める方も少なくありません。

Q.税理士に定年退職はありますか?

A.税理士に定年はありません。税理士試験に年齢制限はなく、受験は何歳でも可能です。合格した資格は生涯有効であり、一度登録すれば本人が希望する限り現役として活動を続けられます。

まとめ

税理士の平均年齢は60歳を超え、業界全体で高齢化が進んでいます。一方、AI・DXの進展や働き方の多様化により、若手が活躍できる環境は着実に整いつつあります。これからの時代に求められるのは、知識や経験に加え、変化を受け入れ、新しい価値を創造できる力です。専門性と発信力を磨き、時代の要請に応えることで、次世代を担う税理士として持続的なキャリアを築くヒントにしてください。

この記事の監修者

伊藤之誉

長野県長野市出身。慶応義塾大学商学部卒業。1998年に国内最大手の税理士事務所(現デロイト トーマツ税理士法人)に入社後、上場企業から中小企業まで多種多様なクライアントに対する申告書作成業務、税務調査立会など法人の税務全般業務に従事。連結納税や国際税務のコンサルティング、個人所得税の申告書作成、税務デューデリジェンス業務にも従事。執筆、外部研修講師なども経験。2011年に伊藤之誉税理士事務所を独立開業 。軽いフットワークを武器に難解な税法をわかりやすくお伝えし、経営者の皆様と共に成長し、喜びをわかちあえることを理想としています。

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