
公認会計士としてのキャリアを積む中で、「いつか独立したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。公認会計士は専門性の高い国家資格であり、独立開業もキャリアの延長線上にある選択肢のひとつです。しかし、独立の形態は一つではなく、どのような業務を中心に据えるか、どのタイミングで踏み出すかによって、準備すべき内容も大きく変わります。
この記事では、独立開業した公認会計士の働き方や年収の実態、独立のメリット・デメリット、そして成功に向けた準備のステップを具体的に解説します。公認会計士としての独立を見据えてキャリアを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

独立開業した公認会計士の働き方と仕事内容

公認会計士の独立開業とひと口に言っても、その働き方は多様です。税務を中心とした会計事務所の開業から、コンサルティング業務を担う専門家としての活動、監査法人の非常勤として柔軟に働くスタイルまで、自身のスキルや志向に合わせてさまざまな形態が存在することが、公認会計士の独立の特徴といえます。
実際に独立している会計士がどれほどいるのか、また具体的にどのような働き方をしているのかを理解したうえで、自分に合った独立の形を検討していきましょう。
どのくらいの公認会計士が独立しているのか
公認会計士の約4人に1人が独立開業という働き方を選んでいます。
日本公認会計士協会近畿会が2020年11月〜12月に実施したアンケート調査(回答者483人)によると、「独立開業(監査法人非常勤を含む)」と回答した人は123人で、全体の約25.5%を占めました。一定数の会計士が独立を実現していることがわかります。
アンケート結果からもわかるように公認会計士の独立開業は決して少数派ではなく、税務顧問・コンサルティング・非常勤監査など多様な形態で実現されています。一定の実務経験を積んだうえで自身のスキルや志向に合った独立スタイルを選ぶことは、現実的なキャリアの選択肢として十分に検討する価値があるでしょう。
出典:日本公認会計士協会近畿会「公認会計士のワーク・ライフ・バランスとキャリアに関するアンケート調査結果(2022年版)」
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独立開業の主なパターンと業務内容
公認会計士の独立開業は、①監査業務中心、②会計事務所・税理士事務所としての開業、③コンサルティングやアドバイザリー業務中心という3つのパターンに大別できます。それぞれ必要な経験や収入の安定性が異なるため、順に確認していきましょう。
①監査業務中心の独立
監査業務中心の独立は、公認会計士にとって最も敷居の低い独立形態といえます。独立前に勤めていた監査法人などと非常勤契約や業務委託契約を結び、常勤から非常勤へ切り替えることでスモールスタートを図るケースが典型的です。
週2〜3日程度の稼働で一定の収入を確保しながら、並行して自身の事務所運営や新規顧客の開拓を進め、事業が軌道に乗るにつれて非常勤の比率を徐々に下げていくというのが一般的な流れとなります。
ただし、業務委託で監査を受注する公認会計士自体が増加していることから、報酬相場は緩やかな下落傾向にあり、アサインされる日数も希望どおりに通るとは限らないため、年収の見通しが立てにくい面もあります。また、非常勤の採用条件として「公認会計士登録済みであること」「インチャージ経験があること」などを求める監査法人も多く、独立前に一定の実務経験を積んでおく必要があるでしょう。
またエリア別で、日本公認会計士協会の県別・年齢構成別会員数(2025年12月31日現在)をみると、全国の会員数は38,031人で、東京会だけで約57%が集中しており、地方会の会員数は相対的に少ない状況にあります。地方では所長の高齢化と後継者不在により会計事務所数が減少する傾向にあり、監査業務を中心とした独立は地方でも成立しやすい環境が整いつつあります。
なお、2023年4月施行の改正公認会計士法により、上場会社等の監査には「上場会社等監査人名簿」への登録が必要となりました。個人事務所が上場企業の監査を単独で担うことは制度上想定されていないため、独立後に監査業務のみで事業を成り立たせる場合は、非上場企業向けの任意監査や監査法人との非常勤契約による受託が中心になります。
出典:日本公認会計士協会「県別・年齢構成別会員数(2025年12月末日現在)」
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②会計事務所・税理士事務所としての独立
公認会計士の独立でもっとも一般的なのは、税理士登録を行い、税務業務を主とした会計事務所を開業するケースです。公認会計士は税理士登録のための試験が全科目免除されており、所定の研修を修了することで税理士資格を取得できます。税理士登録後は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」という3つの独占業務に加え、記帳代行や税務調査の立会いなども手がけることが一般的です。
日本税理士会連合会の集計によると、令和5年度の新規税理士登録者2,725人のうち「公認会計士有資格者」は522人(構成比19.2%)で、公認会計士から税理士登録をする人は増加傾向にあります。
独立前には、税理士法人や会計事務所で数年間の税務経験を積んでから独立するのが望ましいとされています。税務経験のないまま独立すると、実務を学びながら事業を進める必要があり、立ち上げ期の負荷が大きくなります。
厚生労働省のjob tagによると、令和6年度の有効求人倍率は公認会計士が0.32倍であるのに対し、税理士は2.31倍と人手不足感が強く、税務顧問業務を中心とした独立は需要の面でも安定した選択肢といえます。
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③その他(コンサルティング/アドバイザリー業務中心)
コンサルティングやアドバイザリー業務を軸とする独立では、監査経験で培った分析力を活かした専門性の高い業務に携われる点が特徴です。会計アドバイザリー業務では、決算支援、IPO支援、決算早期化支援、内部統制構築支援といった業務を通じて経営者に助言を行います。
財務アドバイザリー(FAS)業務では、M&Aに関する助言や経営状態が厳しい企業の再生支援、財務デューデリジェンスなどを扱います。
1案件あたりの単価が高い一方、業務を短期間で終わらせる必要があるため複数人で対応するケースが多く見られます。
このほか、ベンチャー企業や中小企業のパートタイムCFOとして関与する働き方や、上場会社・上場準備企業の社外役員に就任する働き方も選択肢の一つです。東京証券取引所の企業行動規範では、上場会社に対して一般株主と利益相反のおそれのない独立役員を1名以上確保することが求められており、上場準備企業にとって社外取締役や社外監査役の設置は避けて通れない課題となっています。
専門性と独立した立場を兼ね備える公認会計士は、こうした社外役員のニーズにおいて有力な候補者となりやすい立場にあります。また、公認会計士という肩書自体がセミナー講師や執筆活動における強みになるケースも少なくありません。
独立した公認会計士の年収相場

公認会計士が独立した場合の年収は、勤務時代と比べて上限がなくなる一方、案件獲得の状況によって振れ幅が大きくなるという特徴があります。ここでは、勤務公認会計士の平均年収を確認したうえで、独立後の年収相場や具体的な収入モデルを見ていきましょう。
勤務公認会計士の平均年収
独立後の年収を検討する前に、まずは勤務公認会計士の年収水準を把握しておきます。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」によれば、公認会計士(学術研究、専門・技術サービス業に属する職業)の全国平均年収は810.8万円です。
全国平均の労働時間は月150時間、平均年齢は42.2歳で、一般労働者の1時間当たり賃金は4,304円、短時間労働者は2,338円となっています。転職市場における推計値では、公認会計士全体の平均年収は700万円〜900万円台とされ、いわゆる大手監査法人に勤務する従業員の平均年収は800万円〜1,000万円程度といわれています。
独立後の公認会計士の年収相場
独立開業した公認会計士の年収は、平均して1,000万円前後が一つの目安とされ、案件獲得や専門性の高め方次第では2,000万円〜3,000万円を超える水準まで到達することも可能とされています。ただし、この数値はあくまで推計であり、実態としては顧客獲得の状況次第で独立前の年収を下回る場合も十分にあり得る点には注意が必要です。
年収の変動要因として押さえておきたいのが、法人化のタイミングです。個人事業主として得る年商が800万円〜1,000万円に達すると、法人化したほうが税負担を軽減できるケースが多く、法人成りを検討する目安の一つとされています。独立当初の年収がこの水準に届くかどうかは、収入モデルのシミュレーションのとおり、案件数と単価によって大きく左右されます。
収入モデルのシミュレーション
公認会計士などの士業サービスは原価のほとんどが人件費であり、年収は基本的に「時間単価×稼働量」という構造で決まります。業務の種類によって単価の相場が異なるため、代表的な3つの業務パターンに分けて確認します。
| 業務の種類 | 単価・報酬の目安 | 備考 |
| 非常勤監査 | 時給5,000円〜1万円程度 | 大手監査法人は5,000円〜8,000円、中小監査法人はやや高く6,000円〜1万円程度となる傾向がある |
| 税務顧問 | 個人事業主で月額1万円未満〜3万円程度、法人で月額1万円〜5万円程度 | 決算料・確定申告料は別途発生することが多い |
| コンサルティング (経営顧問・M&A支援) | 時間単価1万円〜2万円程度 | 案件の専門性や難易度によって単価は変動する |
非常勤監査を例に試算すると、1日5時間・週3日勤務であれば月30万円〜60万円程度の収入となります。また、税務顧問業務では1クライアントあたり平均30万円程度の年間報酬を想定した場合、1人所長型の事務所であれば50件以上のクライアント獲得が一つの目安になります。
コンサルティング業務では、時間単価1万円で1日7万円〜8万円を安定的に獲得できれば、年間200日程度の稼働で相応の年収に到達する計算です。時間単価が2万円まで上がれば、同じ稼働日数でも年収は2,800万円〜3,200万円程度まで伸びる可能性があります。
独立開業は、自身で案件を獲得する力があれば、勤務時代よりも業務負荷を抑えながら同水準以上の年収を得られる可能性がある一方、その力が不足していると収入が伸び悩むという二面性を持つ働き方だといえます。
公認会計士が独立して得られるメリット

独立開業には、勤務時代にはない自由度と収入面での可能性があります。ここでは代表的な3つのメリットを紹介します。
年収の上限がなくなる
会社員と異なり、独立した公認会計士は自身のスキルや稼働量、単価設定によって収入を高めていくことができ、年収に上限が存在しません。年商が増えるほど年収も増やしやすく、公認会計士業務は仕入れが不要であるため、売上の大部分をそのまま年収へ反映させやすい構造になっています。
仕事内容・業務量を自分で決められる
独立後は自ら仕事を選べるようになるため、さまざまな業界や企業、ビジネスモデルに関わる機会が広がり、幅広い知識を得やすくなります。得意な案件を選び、苦手な仕事は断るといった調整も自分の裁量で行えるため、ライフスタイルに合わせた働き方を実現しやすい点も魅力の一つです。
初期費用・経費が比較的少ない
非常勤の公認会計士として働く場合や、外部企業へのアドバイザリー業務のみを行う場合は、事務所の場所を確保しなくても事業を始められるケースがあります。事業を拡大する段階では人件費や賃料などが発生するものの、開業当初は備品代程度に抑えられることが多く、初期費用を大きくかけずにスモールスタートを切りやすいでしょう。
独立前に理解しておきたいデメリット・リスク

独立にはメリットがある一方で、勤務時代にはなかった負担やリスクも伴います。事前に把握しておくことで、開業後のギャップを小さくできるでしょう。
収入が不安定になりやすい
独立直後は新規クライアントの開拓やビジネス基盤の構築に時間がかかるため、会社員時代のような安定した収入を得ることは難しいのが実情です。案件を獲得できなければ収入はゼロになり、事業が軌道に乗らなければ閉業を選ばざるを得ない可能性もあります。
公認会計士協会の会費や事務所運営費といった固定費が発生し続ける点も踏まえておく必要があるでしょう。
公認会計士以外の業務も対応する必要がある
独立後は、集客や顧客開拓を自ら積極的に行わなければなりません。
仕事の受注や報酬単価の決定、経理事務や採用、事務所としての差別化・ブランディングまで、経営に関わるあらゆる業務を自分自身で担うことになり、公認会計士としての専門業務に集中しづらくなる場面も出てきます。
大規模案件には携わりにくい
大企業が発注する大規模プロジェクトには、一定の人員体制や実績、信頼性が求められるため、個人の事務所規模では対応が難しいケースが多く見られます。
個人事務所として受注できる案件には限りがあり、大手企業や有名企業の仕事に携わる機会が組織に所属していたときより減る可能性があります。
独立に向いている人・向いていない人

独立という働き方が合うかどうかは、能力やキャリアだけでなく、性格的な適性によっても左右されます。それぞれの特徴をみていきましょう。
独立に向いている人の特徴
独立に向いている公認会計士の特徴として、仕事に対する積極性と高い営業力が挙げられます。困難や挫折に直面しても解決策を見出し、冷静に対応できる精神的な強さも重要な要素です。組織の看板に頼らず自分自身の力で顧客を開拓できる人、人脈が豊富でコミュニケーション能力に長けている人ほど、独立後の事業展開がスムーズに進みやすいでしょう。
加えて、締め切りの厳守や複数案件の並行対応、意思決定をすべて自分で行う自己管理能力、収入変動への耐性となるリスク管理能力も、独立会計士に共通して求められる資質だといえます。
独立に向いていない人の特徴
与えられた業務を期限内で的確にこなすことを得意とし、組織やチームのプロセスを重視するタイプの方は、監査法人などの組織に所属し続けるほうが力を発揮しやすい傾向にあります。人脈づくりやコミュニケーションに苦手意識がある方、収入や雇用の安定を重視したい方も、独立には慎重な判断が求められます。
また、上場企業の監査や大型M&A案件など、チームで大規模な案件に携わりたいという志向が強い方にとっても、個人での独立はミスマッチが生じやすい選択となるでしょう。
独立を成功させるために

独立を成功に導くためには、タイミングの見極めと差別化戦略、業務効率化という3つの観点を押さえておく必要があります。
独立タイミングの目安
公認会計士が独立するタイミングに絶対的な正解はないものの、一般的には資格取得後5年から10年程度の実務経験を積んだ後が多いとされています。監査経験に加えて税務やアドバイザリーの経験も積んでおくことが理想であり、この時期は監査法人内での昇進タイミングと重なることも少なくありません。信頼される出身企業や肩書きを持ったタイミング、顧客開拓につながる人脈が形成されたタイミングで独立すると、成功しやすい傾向があります。
年代別に見ると、それぞれ異なる強みとリスクが存在します。20代での独立は、柔軟性と挑戦意欲の高さが強みとなる一方、経験不足からクライアントの信頼獲得や複雑な案件対応に苦労しやすい面があります。
30代での独立は、実務経験と体力のバランスが取れた時期であり、クライアントの信頼を得やすいうえ、家族形成の時期と重なることが多いためワークライフバランスを重視した働き方を実現しやすいといえます。
40代での独立は、豊富な経験と広い人脈を武器にできます。長年の実務経験で複雑な案件にも対応でき、業界内での信頼関係も構築されているため、クライアント獲得がスムーズに進みやすいでしょう。
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専門分野を持つ
専門分野を明確に持つことは、競合との差別化における最大のセールスポイントとなります。数多くの公認会計士や税理士のなかで自分の事務所ならではの強みが打ち出せていなければ、多くのクライアントを獲得することは難しいでしょう。
差別化の方法は多岐にわたります。より専門性の高い差別化として、英語力を活かした国際税務やIFRSなど海外案件への対応、税務調査への対応力、組織再編税制や連結納税といった難解な税務分野への特化、豊富なIPO支援実績、上場会社での社外役員経験、特定業界に特化した税務サービスなどが考えられます。専門性の高い分野で差別化できれば、価格競争に頼らずとも高付加価値なサービスとして単価そのものを引き上げやすくなる点は大きなメリットです。
差別化のポイントを定めるにあたっては、独立前の段階で自身の強みを客観的に自己分析し、どの方向性で勝負するかという方向感を持っておくことが重要になります。また、一度専門分野を確立した後も、税制改正や業界動向など最新情報を常に追いかけ、専門性を継続的に高め続ける姿勢こそが、独立会計士として長期的に成功するための前提条件だといえます。
業務効率化をする
データ入力や集計作業の自動化などITを活用して事務作業を効率化すれば、その分の時間を専門性の高い高付加価値な業務に充てられます。専門外の業務については外部への委託も選択肢の一つです。何でも自前でこなそうとするのではなく、自身の資金状況やアウトソーシングにかかる費用対効果を踏まえたうえで、委託すべき業務とコア業務として自分が担うべき業務を切り分けてみましょう。
クライアントの獲得方法を考える
独立後どのようにクライアントを獲得するかを想定していくことも重要になります。
受注ルートの構築という観点では、独立前からのネットワークづくりが土台となります。弁護士や司法書士といった他士業とのネットワーク、金融機関とのネットワーク、監査法人時代の同僚とのネットワーク、会計ソフト会社とのネットワークという4つの軸を意識しておくと、独立後の受注ルートを複数確保しやすくなります。
実際の受注経路としては、自社ホームページやWeb集客、他士業からの紹介、会計ソフト会社からの紹介、有料の紹介サービス、交流会での紹介、既存顧客からの紹介など複数のルートが存在します。単発の営業活動だけに頼らず、継続的に案件が流入する仕組みを設計しておくことが望ましいでしょう。
独立の準備から開業までの6ステップ

公認会計士が独立を決意してから開業に至るまでの流れを6つのステップに整理します。
STEP1:独立の形態と収益モデルを決める
まずは、どのような業務を中心に事業を展開していくかを明確にする必要があります。主な収益源としては、税務顧問業務、財務コンサルティング、M&A支援、IPO支援、事業再生支援などが挙げられ、報酬設定は時間単価を意識して設計することが重要です。
STEP2:税務・アドバイザリー実務の経験を積む
公認会計士が税理士として独立する場合、税務経験は必須ではないものの、財務省令で定める研修を通じて税務的な考え方や税制改正の要点を習得したうえで登録する必要があります。監査法人での経験に加え、会計事務所やFAS、コンサルティングファームなどで税務やアドバイザリー業務の経験を積んでおくと、独立後に対応できる業務の幅を広げやすくなります。
STEP3:競合との差別化ポイントを明確にする
独立前の段階で、自身の強みを明確に言語化しておくことがこのステップの要点です。国際税務やIPO支援、特定業界への特化など、何を軸に他の公認会計士や税理士と差別化するかをこの時点で棚卸しし、独立後にどのような顧客層へアプローチするかの方向性を固めておきましょう。
あわせて、単発の営業活動に頼らず、独立前から人脈づくりに着手しておくことが、開業直後の受注につながります。
STEP4:資金を準備し、開業場所を決める
独立する際には、事務所賃料やPC・会計ソフトなどの設備費、広告費、事務スタッフの人件費といった費用が発生することも考慮しておく必要があります。
独立直後はクライアント数が十分に確保できないことも多いため、事業資金だけでなく、生活費を含めて数か月から1年程度の資金を準備しておくと安心です。公認会計士の事業は大きな設備投資を必須としないため、自宅開業によって初期費用を抑える選択肢もあります。
STEP5:税理士登録などの登録・契約手続きを行う
税務業務を行う場合は、所定の研修を修了したうえで税理士登録を行う必要があります。公認会計士は税理士試験が全科目免除されるだけでなく、通常の税理士登録で求められる2年間の実務経験の要件も課されないため、所定の研修修了と登録手続きさえ済ませれば登録が可能です。
税理士となる資格を有する者は、日本税理士会連合会に備える税理士名簿への登録が義務付けられており、登録を経ずに税理士業務を行うことはできません。非常勤監査を行う場合は、あわせて監査法人との事前契約を進めておきましょう。
STEP6:開業届の提出・設備の準備
最後に、税務署への開業届の提出と事務所所在地の届出を行い、会計ソフトやパソコン、セキュリティ環境などの業務基盤を整えます。クラウド会計の活用は業務効率化と差別化の両面で前提となりつつあるため、開業段階から積極的な導入を検討したいところです。
よくある質問

公認会計士が独立をする際に気になるポイントを確認していきましょう。
Q.独立するのは資格取得後何年目が一般的ですか?
A.資格取得後5年から10年程度の実務経験を積んだ後が一般的とされています。ただし、積んできた経験の内容によって適切なタイミングは変わります。
Q.独立後の年収はどのくらいですか?
A.平均して1,000万円前後を目安とする一方、案件獲得の状況や専門性によっては2,000万円〜3,000万円を超えるケースもあります。ただし、独立直後は顧客基盤が整っていないため、勤務時代より年収が下がる可能性もあります。
Q.開業資金はいくら必要ですか?
A.自宅開業であれば数十万円程度からのスモールスタートも可能で、事務所を構える場合は初期費用に加え、生活費を含めて数か月から1年分の運転資金を確保しておくと安心です。
Q.監査業務だけで独立できますか?
A.2023年4月の公認会計士法改正により、上場会社等の監査には監査法人単位での「上場会社等監査人名簿」への登録が必要となり、個人事務所が単独で担うことは想定されていません。監査業務のみで独立する場合は、非常勤監査で一定の収入を確保しながら、税務やコンサルティングで顧客を広げていくケースが一般的です。
Q.独立がうまくいかなかった場合、再就職はできますか?
A.独立に失敗しても、監査法人や一般企業への再就職は十分に可能です。失うものは事業に限られ、これまで培ってきたスキルや経験そのものが失われるわけではありません。士業に特化した転職支援サービスを活用するのも一案です。
まとめ

公認会計士の独立開業には、監査業務中心、税務業務中心、コンサルティング業務中心という複数のパターンが存在し、それぞれ求められる経験や収入の安定度が異なります。年収は勤務時代より上振れする可能性がある一方、案件獲得の状況によって大きく変動するという不確実性も併せ持っています。独立を成功させるには、資格取得後5年から10年程度の実務経験を目安としつつ、自身の専門分野を明確化し、独立前から複数の受注ルートを構築しておくことが重要です。
会計事務所や税理士事務所への転職を検討している方、あるいは独立を見据えたキャリア形成の途中にある方は、まずは自身の経験を整理し、どのパターンの独立が自分に合っているかを見極めることから始めてみてください。求人情報の収集や実務経験の棚卸しを進めたい場合は、専門の転職エージェントへの相談も有効です。
