公認会計士試験とは?試験内容や合格率を解説!

2023年12月19日(記事更新日:2026年5月18日)

公認会計士を目指すなら、まずは公認会計士試験を突破した上で実務経験等を積まなければなりません。
そこで本記事では、公認会計士試験の概要やスケジュール、試験合格後の流れ等を解説いたします。
各科目の内容や合格率も掲載していますので、試験勉強を始める前の参考にしてください。

公認会計士の求人はこちら 

公認会計士試験の概要

公認会計士の受験資格や試験地等を確認しましょう。

受験資格

受験資格はありません。
年齢、学歴、国籍等にかかわらず、どなたでも受験できます。
特に学歴等が不要ということで他の資格よりも門戸を広く開放しており、幅広く誰でも受験に挑戦することが可能です。

試験概要

例年の試験時期

短答式試験:第Ⅰ回試験 12月
      第Ⅱ回試験 5月
論文式試験:8月下旬

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2段階に分かれており、短答式試験に合格した人だけが論文式試験に進める方式です。
短答式試験は年2回実施され、両方を受験できる上にどちらか一方で合格すれば良いので、短答式試験は毎年受験のチャンスが2回あることになります。

試験地

東京都、大阪府、北海道、宮城県、愛知県、石川県、広島県、香川県、熊本県、福岡県、沖縄県の11都道府県です。受験者の所在地に関係なく試験地を選択できます。
たとえば「出張に合わせて東京で受験する」「長期休暇中、実家に帰省して最寄りの会場で受験する」といったことも可能です。

合格発表時期

短答式試験:第Ⅰ回試験 1月中旬
      第Ⅱ回試験 6月下旬
論文式試験:11月中旬

詳細な合格発表日については、前年の12月頃に予定版が、当年6月頃に確定版が公認会計士・監査審査会ウェブサイト上で公開されます。
また合格発表後概ね2週間以内に、短答式試験合格者には合格通知書が、論文試験合格者には合格証書が発送されます。

試験科目

短答式試験と論文式試験の2段階です。
短答式試験:財務会計論・管理会計論・監査論・企業法
論文式試験:会計学(財務会計論・管理会計論)・監査論・租税法・企業法・選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうち1科目)

試験時間

短答式試験:財務会計論2時間、管理会計論、監査論、企業法は各1時間の合計5時間
論文式試験:会計学5時間(2時間+3時間)、監査論、租税法、企業法、選択科目は各2時間の合計13時間

論文式試験は例年、金〜日曜日の3日間で試験が実施されます。

出題形式

短答式試験:マークシート方式による択一式試験
論文式試験:筆記試験

受験料

19,500円
短答式試験の出願時に納付します。
短答式試験の免除者であっても、同額を納付する必要があります。

合格条件

短答式試験と論文式試験に合格

短答式試験に一度合格すると、以降2年間は短答式試験が免除されます。
免除期間が過ぎれば再度短答式試験から受験し直すことになりますのでご注意ください。

合格基準

短答式試験:総得点の70%が目安
論文式試験:総得点の52%が目安

なお1科目でも40%に満たない場合は不合格になることがあります。

出典:公認会計士・監査審査会 

公認会計士試験の特徴

公認会計士試験は難関資格にもかかわらず受験資格がない等の特徴を有しています。本項でその特徴を理解しましょう。

受験資格がない

医師や弁護士になるためには原則として学歴等の一定条件が必要ですが、公認会計士は受験資格がないため、社会人でも受験しやすい資格と言えます。
実際に、社会人が公認会計士試験を受験し合格した例は少なくありません。

短答式試験合格後、論文式試験に合格する必要がある

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2段階に分かれています。
短答式試験と論文式試験の両方に合格してようやく公認会計士試験の合格となるのです。

試験科目数が多い

試験科目数が多いため、勉強する範囲も学習時間も膨大になります。
科目別の出題範囲は「出題範囲の要旨」として公認会計士・監査審査会のウェブサイト上で発表されますので、内容を確認した上で勉強に取り組みましょう。

短答式試験「出題の要旨」公表日:
第I回(12月)短答式試験 6月頃
第Ⅱ回(5月)短答式試験 1月頃(暫定版)、4月頃(確定版)

論文式試験「出題の要旨」公表日:
1月頃(暫定版)、4月頃(確定版)

公認会計士試験のスケジュール

公認会計士試験は例年、短答式試験2回と論文式試験1回が実施されます。
それぞれのスケジュールを掲載しますので、いつ動き出すべきかの目安にしてください。

官報公告

6月頃に公告されます。
内容は限定的で、詳細が確認できるようになるのは次項「受験案内の公表期間」です。
令和5年より試験場の公表は「各試験期日の約1か月前に公認会計士・監査審査会ウェブサイト上」となりました。官報には掲載されませんのでご注意ください。

受験案内の公表期間

短答式試験実施日の約4カ月前に、公認会計士・監査審査会ウェブサイト上で公表されます。

第Ⅰ回(12月)短答式試験:8月頃
第Ⅱ回(5月)短答式試験:1月頃

免除申請

免除申請はインターネットまたは書面で申請可能です。
出願期限に間に合うよう申請しましょう。

インターネット申請:毎年8月頃
書面申請:通年

なおインターネット申請が認められていない免除要件もあります。
免除申請を行う場合は、受験案内で申請方法と申請期限をご確認ください。

出願受付期間

短答式試験実施日の約3カ月前の約1カ月間です。

第Ⅰ回(12月)短答式試験:9月頃
第Ⅱ回(5月)短答式試験:2月頃

インターネット出願と書面出願から選択でき、インターネット出願の方が1週間ほど長く受け付けています。

試験日

第Ⅰ回短答式試験:12月上旬
第Ⅱ回短答式試験:5月下旬
論文式試験:8月下旬

具体的な日程は公認会計士・監査審査会ウェブサイトでご確認ください。

合格者発表

第Ⅰ回短答式試験:1月中旬
第Ⅱ回短答式試験:6月下旬
論文式試験:11月中旬

試験免除制度

下記に該当する人は試験の一部又は全部が免除されます。
該当要件に当てはまるか確認してください。

短答式試験科目の免除要件

全科目免除要件

・大学等で商学・法律学の教授または准教授を3年以上経験した人
・大学等で商学・法律学の博士の学位を授与された人
・高等試験合格者
・司法試験または旧司法試験第2次試験合格者

一部科目免除要件

・商学/法律学で教授/准教授/博士の学位を取得した人:短答式試験全部免除
・司法修習生となる資格を得た人/司法試験合格者/旧司法試験第2次試験合格者:短答式試験全部免除
・税理士資格を有する人/税理士試験の科目合格者(簿記論及び財務諸表論):財務会計論免除
・会計専門職大学院修了者(見込者):財務会計論/管理会計論/監査論免除
・金融商品取引法に規定する上場会社等で会計等に関する事務に7年以上従事した人:財務会計論免除
・高等試験本試験合格者:短答式試験全部免除

論文式試験科目の免除要件

論文式試験の全科目免除要件はありません。
下記要件に基づき一部免除が実施されます。

・商学で教授/准教授/博士の学位を取得した人:会計学/経営学免除
・法律学で教授/准教授/博士の学位を取得した人:企業法/民法免除
・経済学で教授/准教授/博士の学位を取得した人:経済学免除
・司法修習生となる資格を得た人/司法試験合格者:企業法/民法免除
・旧司法試験第2次試験合格者:旧司法試験第2次試験において受験した科目免除
・税理士資格を有する人:租税法免除
・不動産鑑定士試験合格者/旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者:経済学または民法免除
・企業会計の基準の設定等の事務に従事した方で審査会の認定を受けた方:会計学免除
・監査基準の設定等の事務に従事した方で審査会の認定を受けた方:監査論免除
・旧公認会計士試験第2次試験合格者のうち旧公認会計士試験第2次試験の論文式試験において免除を受けた科目のある人:旧公認会計士試験第2次試験において免除を受けた科目免除
・高等試験本試験合格者:高等試験本試験において受験した科目免除

出典:公認会計士・監査審査会 

公認会計士試験の難易度

公認会計士は三大難関資格の1つと呼ばれており、取得は簡単ではありません。
過去の合格率等から難易度を確認しましょう。

過去の受験者数、合格者数、合格率

<短答式試験の合格率>


試験回
2023年
第Ⅰ回
2023年第
Ⅱ回
2024年
第Ⅰ回
2024年
第Ⅱ回
2025年
第Ⅰ回
2025年
第Ⅱ回
2026
第Ⅰ回
出願者数14,550人15,883人15,681人16,678人15,990人17,027人16,181人
受験者数11,401人10,429人12,100人11,003人12,336人11,127人12,533人
合格者数1,182人921人1,304人1,041人1,383人1,026人1,525人
合格率10.4%8.8%10.8%9.5%11.2%9.2%12.2%
合格基準71%69%69%78%72%72%75%

出典:公認会計士・監査審査会 

<論文式試験の合格率>

年度2023年2024年2025年
出願者数20,317人21,573人22,056人
受験者数4,192人4,354人4,665人
合格者数1,544人1,603人1,636人
受験者率
(受験者ベース)
36.8%36.8%35.1%
最終合格率
(出願者ベース)
7.6%7.4%7.4%
合格基準52.0%51.9%52.2%

出典:公認会計士・監査審査会 

短答式試験の合格率は10%前後。一方で論文式試験の合格率は35%前後です。
つまり短答式試験にいかに早く合格するかが、公認会計士試験合格の鍵となります。

学歴・年代別の受験者数、合格者数、合格率

<学歴による合格率(2025年公認会計士試験)>

学歴受験者数
(論文式試験受験者数)
合格者数合格率
大学院修了303人38人12.5%
会計専門職大学院修了402人31人7.7%
大学院在学41人22人53.7%
会計専門職大学院在学63人22人34.9%
大学卒業2,144人765人35.7%
大学在学1,291人653人50.6%
高校卒業328人78人23.8%
その他93人27人29.0%
合計4,665人1,636人35.1%/平均

<年齢による合格率(2025年公認会計士試験)>

年齢受験者数
(論文式試験受験者数)
合格者数合格率
〜19歳47人26人55.3%
20〜24歳2,137人1,002人46.9%
25〜29歳1,347人431人32.0%
30〜34歳522人119人22.8%
35〜39歳229人38人16.6%
40〜44歳170人15人8.8%
45〜49歳65人0人0.0%
50〜54歳68人5人7.4%
55〜59歳31人0人0.0%
60〜64歳31人0人0.0%
65歳〜18人0人0.0%
合計4,067人1,456人35.1%/平均

合格者構成では、大学在学・大学卒業の合格者が多くを占めていますが、高校卒業やその他の人の合格も見受けられます。
また年齢も千差万別で、20歳未満や50代での合格者が認められます。
公認会計士は年齢や学歴によらず幅広い層で合格している人がいます。

出典:公認会計士・監査審査会「令和7年公認会計士試験 合格者調」 

他の士業資格と合格率の比較

令和7年(2025年)における他の士業資格との合格率の違いは以下のとおりです。

受験者数合格者数合格率
公認会計士試験4,665人1,636人35.1%
税理士試験36,320 人7,847人21.6%
司法試験3,837人1,581人41.2%

出典:国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果公表」 

出典:法務省「令和7年司法試験の採点結果」 

公認会計士試験は受験資格が幅広く設定されているため、司法試験と比較して多い受験者数ですが、司法試験は受験資格によってすでに受験できる人が限られているため合格率が高くなっていると言えるでしょう。
一方で税理士試験の合格率は20%を切っています。受験者数は他の試験よりも多いことがわかりますが、毎年3万人以上いた受験者数は年々減少して、令和4年には28,000人台まで減っています。このことから令和5年には税理士試験の受験資格要件が緩和されています。

公認会計士試験が難しいと言われる理由

公認会計士は日本三大国家資格と言われるほど難しい試験です。
どのような点が難しいのかを把握し、あなたが乗り越えられそうかを検討してください。

試験範囲が広い

短答式試験と論文式試験の両試験とも、科目数が多く出題範囲も膨大です。し
かも科目合格制ではないため、1科目で満点を取得してもその他の点数が悪ければ合格とはなりません。
全科目をまんべんなく学習する必要があり、試験勉強には相当な覚悟と時間が必要になるでしょう。

専門性が高い試験内容

公認会計士試験は計算だけ、丸暗記だけでは合格できません。
まずは各条文や要件等を把握し、その仕組みや効果まで理解してようやく試験問題に向き合えるようになります。
専門用語も多いため、言葉の意味を調べながら試験勉強に取り組む人もいるほどです。
専門性が高いことも、公認会計士試験が難関である理由の1つなのです。

論文試験がある

論文式試験は、文章で自分の考えや答えを説明する試験です。
問題の意図も解答も理解していることを、文章を通じて採点者に伝えます。つまり自分が読んで納得できる文章ではなく、第三者を納得させられる文章が求められるのです。
短答式試験とは形式が全く異なるため、勉強方法を誤ると論文式試験でつまずいてしまいます。

問題量が多い

全体的に問題数が多く試験時間内では解ききれない科目がほとんどです。
特に管理会計論や租税法を試験時間内に全問に解答することはほぼ不可能と言われています。何の準備もしていなければ、問題文を全文読み終えることなく終了してしまうでしょう。素早く解答していく技術を身に付けることが必要となります。

公認会計士試験科目の内容

公認会計士試験は科目ごとに難易度が異なるため、効率的に学習を進めるために目安を知っておきましょう。
本項では難易度と共に科目ごとの内容も解説いたします。

科目ごとの合格難易度

科目ごとの合格難易度について、学習時間の目安から考えてみましょう。

科目短答式試験の学習時間目安論文式試験の学習時間目安
財務会計論900時間300時間
管理会計論400時間50時間
企業法300時間150時間
監査論200時間100時間
租税法(論文式試験のみ)350時間
経営学(論文式試験のみ)100時間

基本的に「学習時間が長いほど難しい」とお考えください。
特に財務会計論と管理会計論のボリュームが多く、勉強時間も他科目の2〜3倍程度必要です。簿記の理解が前提ですので、苦手意識のある人は上記よりも時間を要するかもしれません。
なお論文式試験の選択科目からは、中でも難易度が低めで多くの受験者が選択する「経営学」を掲載しました。

科目ごとの特徴

財務会計論

短答式試験:200点
論文式試験:200点

短答式・論文式どちらにおいても点数配分が最も多く、学習時間のウエイトも大きい科目です。「簿記」で計算力を「財務諸表論」で理論を問われます。
論文式試験では管理会計論とセットになり「会計学」として出題されます。

管理会計論

短答式試験:100点
論文式試験:100点

財務会計論に続くウエイトを占める科目です。財務会計論と同じく計算と理論が問われますが、内容は工業簿記と経営意思決定に関する方法が中心になります。
論文式試験では財務会計論とセットで出題されます。

企業法

短答式試験:100点
論文式試験:100点

「会社法」「商法」「金融商品取引法」の3つの法律について出題されます。
科目の中心は会社法で、中でも株式会社の企業活動や組織等に関する内容が重要です。ポイントを押さえて学習しましょう。

監査論

短答式試験:100点
論文式試験:100点

監査論では、公認会計士が備えるべき価値観を含め、監査業務についてのルールや背景等について出題されます。
実務を前提とした問題が多いため、学習時間と得点が比例しにくい科目です。ある程度の点数が取得できるようになった後は、他の科目に時間を使って効率の良い得点アップを目指すという切り替えも必要になるかもしれません。

租税法

論文式試験:100点

「法人税法」「所得税法」「消費税法」等の税金にまつわる法律について出題されます。
理論だけでなく計算問題も含まれるので、丸暗記では対応できません。
出題範囲も幅広いので、論文式試験の中ではトップクラスの学習時間を要します。

経営学(選択科目)

論文式試験:100点

「経営戦略論」と「ファイナンス論」を中心に出題されます。
出題範囲が狭く基礎的な出題が中心となるため、選択科目の中では最も難易度が低いとされています。
時事問題が取り上げられることもあり、経済動向に関心を払っておくことも重要です。

経済学(選択科目)

論文式試験:100点

ミクロ経済学とマクロ経済学について出題されます。
計算問題が中心となり微積分の知識も要求されますので、数学が得意な人にはおすすめの科目と言えそうです。

民法(選択科目)

論文式試験:100点

「財産法」や「家族法」といった日常行う行為を規律する法律について出題されます。
出題範囲が膨大なうえに、条文を覚えて理解することから始めなければなりません。
法学部出身や企業法務の経験があれば比較的取り組みやすいでしょう。

統計学(選択科目)

論文式試験:100点

記述統計や確率、統計的評価方法等が出題されます。
公認会計士となった後にも使える知識が身につきますが、数学が中心となるため苦手な人が多いようです。
高校数学を理解しており、数学をより深く学ぶことに抵抗がない人におすすめです。

公認会計士試験の受験にかかる学習時間と勉強方法

公認会計士試験は難関資格として知られていますが、実際にどのくらいの学習時間が必要で、どのように勉強を進めれば良いのでしょうか。本項では、効率的な学習計画を立てるための具体的な情報をご紹介します。

学習時間

公認会計士試験の合格に必要な学習時間は、一般的に3,000〜5,000時間と言われています。この時間数は、予備校や専門学校のカリキュラムを基準にした目安です。

ただし、これはあくまで平均値であり、個人の学習状況によって大きく変わります。例えば、簿記の学習経験がある方や会計の実務経験がある方は、基礎知識がすでに身についているため、学習時間を短縮できる可能性があります。

■学習期間の目安

大学生や専念受験生:1年〜2年程度
社会人:2年〜3年程度

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2段階構成です。短答式試験の突破に約2,000時間、論文式試験の合格にさらに1,000〜2,000時間が必要とされています。

社会人が公認会計士を目指す場合

社会人の方が公認会計士を目指す場合、仕事と勉強の両立が最大の課題となります。平日の勉強時間が限られるため、学習計画をより綿密に立てる必要があります。

■1日あたりの学習時間の確保

社会人の方が現実的に確保できる学習時間は以下のようなパターンが多いようです。
平日:2〜3時間(通勤時間、昼休み、帰宅後の時間を活用)
休日:6〜8時間(土日のいずれかまたは両方)

例えば、平日2時間×5日+休日7時間×2日=週24時間の学習時間を確保できれば、年間で約1,200時間の勉強が可能です。この場合、3,000時間の学習に2年半程度かかる計算になります

■社会人受験生が抑えておきたいポイント

1.スキマ時間の有効活用
通勤電車の中や昼休みなど、細切れの時間を使って暗記項目の復習や講義動画の視聴を行いましょう。スマートフォンやタブレットで学習できる教材を活用することで、1日あたり30分〜1時間の追加学習時間を確保できます。

2.学習の優先順位付け
社会人は学習時間が限られているため、すべての科目に均等に時間を割くことは現実的ではありません。配点の高い財務会計論や管理会計論を優先的に学習し、効率的に得点力を伸ばすことが重要です。

3.長期的な視点を持つ
社会人の場合、1〜2年での合格は難しいかもしれません。しかし、2〜3年かけてじっくり取り組むつもりで計画を立てれば、無理なく継続できます。焦らず、着実に知識を積み上げていくことが成功への近道です。

4.会社の理解を得る
可能であれば、上司や同僚に資格取得を目指していることを伝え、理解を得ておくと良いでしょう。試験直前期には有給休暇を活用して集中学習期間を設けることも検討してください。

実際に、社会人として働きながら公認会計士試験に合格した例は数多くあります。2025年の試験では、25歳以上の合格者が全体の約37%を占めており、30代や40代での合格者も一定数存在します。時間をかけてでも着実に学習を継続すれば、社会人でも十分に合格を目指せる資格なのです。

勉強方法

公認会計士試験は膨大な学習範囲と高度な専門知識が求められるため、効率的な勉強方法を選択することが合格への鍵となります。

■独学での合格は可能?

結論から言えば、独学での合格は理論上は可能ですが、非常に困難です。

公認会計士試験の合格者の大多数は、専門学校や予備校を利用しています。独学が難しい理由は以下の通りです。

■独学が難しい理由

1.学習範囲の広さと専門性の高さ
公認会計士試験は7科目もあり、それぞれが高度な専門知識を必要とします。独学で全範囲を網羅し、試験に必要なレベルまで理解を深めることは、相当な時間と労力を要します。

2.教材選びの難しさ
市販の教材だけでは試験範囲をカバーしきれないことが多く、どの教材をどの順序で学習すれば良いかの判断も難しくなります。予備校では試験傾向を分析した最適なカリキュラムが用意されています。

3.論文式試験対策の難易度
論文式試験は記述式であり、答案作成のテクニックや表現方法が合否を左右します。独学では自分の答案の質を客観的に評価することが難しく、改善点も見えにくいのです。予備校では答案添削サービスがあり、プロの講師から具体的なフィードバックを受けられます。

4.モチベーション維持の難しさ
長期間の学習を独学で続けるには、強い意志と自己管理能力が必要です。予備校では同じ目標を持つ受験仲間と出会えるため、互いに励まし合いながら学習を継続できます。

■取り組む際のポイント

効率的に学習を進めるために、以下のポイントを意識しましょう。

1.学習計画を立てる
公認会計士試験は長期戦です。「いつまでに短答式試験に合格する」「論文式試験はこの年度で合格する」といった具体的な目標を設定し、逆算して月単位・週単位の学習計画を立てましょう。

計画を立てる際は、以下の点に注意してください。
・現実的な学習時間を想定する(無理のないスケジュールを組む)
・定期的に計画を見直し、進捗状況に応じて調整する
・予備日を設けて、遅れが生じても取り戻せるようにする

2.インプットとアウトプットのバランスを取る
教科書や講義でのインプットだけでなく、問題演習によるアウトプットが重要です。特に公認会計士試験は問題量が多いため、時間内に解答する訓練が不可欠です。

学習の進め方の一例
・基礎講義を受講してインプット
・該当範囲の問題を解いてアウトプット
・間違えた問題を復習してインプット
・再度問題を解いて定着を確認

この「インプット→アウトプット→復習」のサイクルを繰り返すことで、知識が確実に身につきます。

3.苦手科目を放置しない
公認会計士試験は1科目でも著しく低い点数を取ると不合格になる可能性があります。得意科目を伸ばすことも大切ですが、苦手科目を最低限のレベルまで引き上げることがより重要です。

苦手科目の克服方法:
・基礎に立ち返り、理解が曖昧な部分を明確にする
・講師に質問して疑問点を解消する
・ 簡単な問題から繰り返し解いて自信をつける
・完璧を目指さず、合格ラインを超えることを目標にする

4.過去問と答練を活用する
過去問を解くことで、試験の出題傾向や頻出論点を把握できます。また、予備校が提供する答案練習や模擬試験を受けることで、本番を想定した時間配分の練習ができます。
試験直前期には、過去問や答練を繰り返し解いて、知識の総仕上げと時間配分の感覚を磨きましょう。

5.体調管理とメンタルケア
長期間の学習では体調管理も重要です。睡眠時間を削って勉強するのは逆効果になることが多いため、適度な休息を取りながら学習を継続しましょう。
また、思うように成績が伸びなかったり、不安になったりすることもあるでしょう。そんな時は、同じ目標を持つ受験仲間や家族、予備校の講師などに相談することをおすすめします。一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けることも合格への大切な要素です。

公認会計士試験に合格したら

公認会計士試験に合格しても、すぐに公認会計士として活躍できるわけではありません。
試験合格から公認会計士となるまでの流れを把握しましょう。

1.就職活動の実施
公認会計士となるには、3年以上の実務経験と3年以上の実務補習が必要です。
そのため公認会計士試験に合格したら、まずは就職活動を開始します。
早ければ論文式試験の合格発表当日から採用活動が開始されますので、チャンスを逃さず希望する企業の求人募集を確認しましょう。
毎年度、試験合格者の多くは監査法人に就職するようです。

公認会計士の求人はこちら 

2.業務補助
業務補助等で3年以上の実務経験を積みます。この3年には試験合格前の実務経験も含まれます。

関連記事
公認会計士に必要な実務経験とは?経験を積める場所や内容、実務補習・修了考査についても解説! 

3.実務補習
原則として3年間の実務補習を受講します。
公認会計士試験の合格前で既に実務要件を満たしている場合は最短1年まで短縮可能です。

4.修了考査
実務補習の必修単位を全て取得した後、修了考査に合格すると公認会計士として登録できる状態になります。
修了考査は例年12月中旬ごろに実施されます。

5.公認会計士登録
日本公認会計士協会に必要書類を提出します。
登録申請が適法であると認められると、晴れて公認会計士として登録されます。

関連記事
公認会計士とは?仕事内容や魅力を解説! 

よくある質問

公認会計士試験についてよく寄せられる質問をまとめました。受験を検討している方の疑問解消にお役立てください。

Q.公認会計士試験に受験資格はありますか?

A.いいえ、受験資格は一切ありません。年齢、学歴、国籍などに関係なく、誰でも受験できます。高校生でも社会人でも、公認会計士を目指したいと思った時点で挑戦できるのが公認会計士試験の大きな特徴です。

Q.公認会計士試験の合格率はどのくらいですか?

A.近年の論文式試験の合格率は35%前後です。ただし、これは短答式試験を突破した人が論文式試験を受験した場合の合格率です。短答式試験の合格率は10〜20%程度であり、短答式試験と論文式試験の両方を通じた全体の合格率は7〜10%程度となります。

Q.短答式試験に一度合格すれば、論文式試験に何度でも挑戦できますか?

A.短答式試験の免除期間は2年間です。短答式試験に合格した年を含めて2年間は短答式試験が免除され、論文式試験だけを受験できます。この期間内に論文式試験に合格できなかった場合は、再度短答式試験から受け直す必要があります。

Q.1年で公認会計士試験に合格することは可能ですか?

A.可能ですが、非常に困難です。専念受験生で、かつ簿記の学習経験がある方であれば、1年での合格を目指せる可能性はあります。しかし、一般的には1〜2年で短答式試験に合格し、さらに1年かけて論文式試験に合格するパターンが多いため、トータルで2〜3年程度を見込む方が現実的でしょう。

Q. 公認会計士試験の勉強にかかる費用はどのくらいですか?

A.予備校の受講料は、コースやプランによって異なりますが、おおむね60万円〜80万円程度が相場です。これに受験料(19,500円)、教材費、交通費などが加わります。Web通信コースは通学コースよりも若干安い傾向にあります。また、教育訓練給付制度を利用できる講座もありますので、条件を満たす方は活用を検討してください。

まとめ

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の両方をクリアしなければならなりません。平均的な総学習時間は3,000時間程度で、合格まで1〜3年を要するとされています。
しかし難関資格だからこそ、取得すれば就職や転職は有利になりますし、高収入を獲得するチャンスが生まれるのです。
学習計画を綿密に立て、公認会計士試験の合格を目指しましょう。

この記事の監修者

伊藤之誉

長野県長野市出身。慶応義塾大学商学部卒業。1998年に国内最大手の税理士事務所(現デロイト トーマツ税理士法人)に入社後、上場企業から中小企業まで多種多様なクライアントに対する申告書作成業務、税務調査立会など法人の税務全般業務に従事。連結納税や国際税務のコンサルティング、個人所得税の申告書作成、税務デューデリジェンス業務にも従事。執筆、外部研修講師なども経験。2011年に伊藤之誉税理士事務所を独立開業 。軽いフットワークを武器に難解な税法をわかりやすくお伝えし、経営者の皆様と共に成長し、喜びをわかちあえることを理想としています。

関連一覧