
税理士は税務に関する専門家です。国家資格が必要であり資格取得は難関ですが、困っている経営者の力となれる仕事です。経理や会計に携わっている方や個人で事業を運営している人等、税理士に一度はお世話になったことがある人もいるのではないでしょうか。しかしながら、具体的にどのような仕事をしているかまでは想像しにくいかもしれません。
そこで今回は、税理士の業務内容や働き方について解説いたします。
税理士への転職を少しでもお考えでしたら、ぜひ最後までお読みください。
あなたが税理士になった時の生活が想像できるはずです。
税理士とは
税理士は税務書類作成等を独占業務とする専門職です。
ここでは税理士の概要や平均年収の目安等をお伝えいたします。
税に関する専門職
税理士はその名が示すとおり、税に関する専門家です。
税に関連する資格は他にもFP(ファイナンシャルプランナー)や簿記資格等がありますが、税務業務を行えるのは税理士に限られます(独占業務)。
税法についての詳細な知識を駆使して、個人事業主や法人の適切な納税をサポートします。
国家資格が必要
税理士を名乗るには、税理士の国家資格取得が必須です。
年1回行われる税理士試験を受験し合格して取得する方法が主流です。
合格率は例年10〜20%のため、難関資格と考えて間違いありません。
ただし弁護士や公認会計士の資格取得者は、税理士試験を受験せずとも税理士として登録できます。また一定の要件を満たした場合、税理士試験の一部または全部が免除されます。
税理士試験は全11科目から合計5科目を選択して受験する制度ですが、1回で5科目すべてに合格する必要はありません。
一度合格した科目は生涯有効になりますので、数年かけて合格を目指しましょう。
主な業務は納税申告書類の作成や経営コンサルティング
税理士の主要業務は決算書等の作成や、資金面でのアドバイスが中心です。
具体例)決算書作成・確定申告書作成・源泉徴収票の作成・資金繰りアドバイス・補助金申請サポート・金融機関との折衝・節税アドバイス・法人成りサポート等
税制改正のたびに知識と業務内容をアップデートし、顧客の状況に鑑みた最適なサポートを行います。
税理士名簿に登録が必要
税理士として仕事を開始するには、税理士名簿への登録が必要です。
税理士法第18条
税理士となる資格を有する者が、税理士となるには、税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受けなければならない。
税理士法第19条
税理士名簿は、日本税理士会連合会に備える。
税理士名簿の登録は、日本税理士会連合会が行う。(後略)
出典:e-GOV法令検索
従って税理士試験に合格した後(もしくは税理士の資格を有した後)、日本税理士会連合会で税理士登録を行うまでは、税理士として仕事を受けることはできません。
公認会計士との違い
税理士と公認会計士の大きな違いは、顧客層と独占業務です。
通常、税理士の顧客となるのは中小企業や個人事業主が中心です。
税理士の独占業務は税務業務や税務相談なので、企業規模にかかわらず活躍の場があります。しかし日本国内における大企業は単純に数が少ないため、主要顧客にはなりにくいのです。
一方、公認会計士の主な顧客は大企業です。
公認会計士の独占業務は監査であり、監査が義務付けられているのが大企業中心のためです。
このような理由から業務内容も異なり、税理士は決算書の作成中心、公認会計士は監査中心で仕事を進めます。
関連記事:公認会計士とは?仕事内容や魅力を解説!
税理士の年収
税理士の平均年収
税厚生労働省の「令和6年度賃金構造統計調査」によると、公認会計士と税理士の平均年収(決まって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別支給額)は、約856万円でした。
会計事務従事者の平均年収が約509万円ですので、1.6倍以上の開きがあります。
この数値は税理士と公認会計士を一本化していますので、税理士の平均年収そのものではありません。しかし、税理士も公認会計士も給与に大差はないとされていますので、この年収を信頼して良いでしょう。
税理士の初任給
新らたに税務の仕事に就いた際の初任給は、資格の有無や勤務先によって異なります。会計事務所などでの未経験者の場合、月給31万円前後が一つの目安とされ、年収に換算すると350~400 万円程度になることが多いです。
一方で、税理士資格を既に取得している場合や試験科目合格者で実務経験がある場合には、初任給・年収ともにこれより高く設定される傾向があります。経験を積むことで、より高い報酬を得られる可能性が広がります。
関連記事:税理士の気になる給与は?様々な角度から年収を分析!
税理士の業務内容(独占業務)

税理士には税理士法で定められた独占業務が3つあり、税理士以外は実施できないとされています。
税務代理
納税者(法人や個人事業主等)に代わって、申告、申請、請求等を行う業務です。
具体的には所得税や法人税、相続税等の申告、また税務署の調査や処分に関して主張もしくは陳述を代理する行為です。
確定申告等は納税者本人でも行えますが、税務書類の作成を依頼する場合はその流れで申告も一緒に行うケースが多いです。
税務書類の作成
納税者に代わって、決算書や確定申告書等の税務書類を作成する業務です。
税務書類も納税者本人が作成できることになっていますが、現実的には税理士に依頼している企業がほとんどでしょう。
主な税務書類としては、以下のようなものが挙げられます。
・所得税や法人税の確定申告書
・相続税申告書
・青色申告承認申請書や各種届出書
・消費税申告書や事業税申告書 など
税務書類の作成には専門知識が必要ですし、複雑な計算を正確に処理しなければなりません。
そのため多くの法人が立ち上げと同時に税理士と契約しています。
税務相談
税務署への税金の申告、税務署から調査や処分を受けた時の主張や陳述といった、納税者からの相談に応じる業務です。
顧問契約を締結している顧客に対しては無制限で相談に乗ることもありますし、そうでない相談者に対して時間制で相談に応じることもあります。
よくある相談例としては以下の通りです。
・年度末の申告方法や必要書類についての質問
・事業承継や相続税に関する相談
・法人税・消費税の課税関係の確認
・確定申告前後の税務リスクや節税戦略の相談 など
なお税理士が無料で税務相談に応じることは合法ですが、これを無資格者が行うと税理士法違反となる恐れがあります。
税に関する相談全般についても、税理士の独占業務なのです。
税理士の業務内容(独占業務以外)

税理士は上記の独占業務以外にも多くの業務を引き受けています。
ここではその一部を紹介します。
経理/財務関連の記帳代行
顧客のクレジットカード明細や領収書等をまとめて帳簿付けを行います。
領収書等を分類した上で会計ソフトに打ち込んでいくことが主な業務です。
入力を会計スタッフが担い、最終チェックを税理士が行う事務所が大半です。
監査業務(巡回監査)
税理士が行う監査業務には、企業の財務データや記帳内容を定期的にチェックし、適正な会計処理が行われているかを確認する「巡回監査」があります。これは公認会計士が行う法定監査とは異なり、中小企業の会計業務の健全性を保つための実務的な監査と言えます。
巡回監査では、帳簿の記載内容、領収書の整合性、税務申告の準備状況などを総合的にチェックし、必要に応じて修正指導や改善提案を行います。
経営コンサルティング
税務書類を読み込んで顧客の経営状況を把握し、問題点の改善や節税対策等をアドバイスします。
ヒアリングや問題の洗い出し、課題解決、アフターフォローと、税務の知識以外にコミュニケーション能力が重要になる業務です。
なお税理士資格だけでなく、中小企業診断士や社会保険労務士といった資格を取得しておくと実務で役立ちます。
独占業務と相性が良いため、経営コンサルティングを行う税理士は少なくありません。
関連記事:税理士の経営コンサルティング業務とは?将来性や必要なスキルなどについて解説!
会計参与
税理士が企業の会計参与として参画するケースも増えています。会計参与は会社の重要な会計判断に企業内部の専門家として関与し、取締役などと共同して計算関係書類を作成することで、財務報告の透明性や信頼性を高める役割を担います。
専門的な視点から経理処理や決算内容の検討に加わることで、経営判断にも貢献します。
起業支援
起業時の必要資金の試算や調達方法のアドバイス、補助金の申請補助といったお金に関する問題を解決します。
また法人を設立する場合には、登記等のサポートも行います。
起業支援でサポートした顧客の多くはそのまま顧問契約を締結するため、営業方法としても効率が良いのです。
金融機関との折衝
「金融機関から融資を受けたいけれど、話し合いがどうにも苦手で税理士に頼みたい」という顧客は少なからずいらっしゃいます。
このような場合に資金繰り表や事業計画書等を作成し、税理士として面談に同席します。税理士のサポートによって借入金額が大きく増減する可能性がありますが、その分やりがいもある業務です。
面談時には借入利息の利率や返済方法等について、金融機関の担当者と交渉することになります。顧客の状況から借入金額や時期を助言し、借入に必要な書類の作成等を行います。
補佐人
税理士は裁判所から任命される補佐人として、税務や会計の専門的見地から支援を行うこともあります。例えば相続や事業承継における税務面のアドバイスや、財務調査のサポートなど、法的手続きと税務の両面を見据えた支援が求められます。
国際税務
日本と海外で事業活動や取引を行う法人または個人に対して、各国の税制に則り適切な税務手続きを行う業務です。
インターネットの普及により個人でも簡単に輸出入が可能となりました。また日本人が投資目的で海外の不動産を購入することも少なくありません。このようにグローバル展開する事業者にとって、国際税務は必要不可欠なのです。
日本と各国の税制に加えて語学力も必要になりますが、強力な差別化が図れます。
税理士の魅力

税理士は安定した地位と高収入が得られる専門職です。また専門性の高さと独占業務から景気に左右されずに働けるのも魅力の1つ。
税理士として活躍している自分を想像しながら読み進めてみてください。
収入が高い
令和4年における平均年収は約856万円でした。
税理士となるには難関国家資格が必要で、なおかつ独占業務は経済活動を行う法人・個人にとって欠かせないものです。
そのため税理士の平均年収は常に高い水準を維持しています。
高収入を目指す人に相応しい職業なのです。
専門性が高い
毎年の合格率が10〜20%という難関国家資格であり、専門性の高さも魅力です。
専門性が高いということは参入障壁が高いためにライバルが増えにくく、替えが効きにくいことを意味しています。
また独占業務により引く手数多ですので、数字に強く高収入を目指す人におすすめです。まずは参考書を手に取り、難易度を確認してみましょう。
景気に左右されにくい
一般的に代行業は不景気になると「外注をストップし自分で行う」ものですが、税務代行に関しては、景気が悪くなろうとも税理士を利用し続けることがほとんどです。
決算書等の税務書類作成作業は一朝一夕に身に付けられるものではありません。
対応できる人材とソフトを揃えることや税務相談の有用性を考えると、税理士に依頼し続ける方を選択されるのです。
このような理由から、税理士は景気にかかわらず安定した収入が確保できます。
自分に合った働き方ができる
様々な働き方から選択できるのも税理士の魅力の1つでしょう。
会社に所属する税理士として働くこともできますし、独立開業して開業税理士になることも可能です。または税理士事務所や税理士法人などで所属税理士として雇用され、安定した立場と専門知識を生かして高収入を得ることもできます。
たとえば結婚直後は企業内税理士として働き、子どもが巣だったら独立開業にチャレンジする、という人生プランも立てられます。働き方の詳細については次の項でもご紹介しますので参考にしてみてください。
税理士の働き方

税理士資格を取得してからの働き方は主に4パターンに分かれます。
あなたの状況にあった働き方を選択しましょう。
会計事務所・税理士事務所・税理士法人
会計事務所や税理士法人等の所属税理士になります。
税理士の先輩や税理士補助が在籍するため、不明点があっても確認しながら作業を進められます。
会社員ですので収入は安定しており、かつ税務業務に集中できる職場です。
なお世界的な実績を誇る通称「BIG4税理士法人」に転職した場合、年収1,000万円超えも夢ではありません。
これらの税理士法人は大企業並みの福利厚生も整っています。安定して高収入を得たい人におすすめの働き方です。
関連記事:会計事務所と税理士事務所/税理士法人の違いとは?仕事内容なども解説!
一般企業内税理士
一般企業の経理・財務部門などに配属されます。
通常時は主に企業内の経理を担当し、決算期が近づくと決算業務を行います。
会社員ですので収入は安定しますが、高収入となるかどうかは所属する会社の規模や業績によるでしょう。
仮に比較的規模の小さい会社の企業内税理士となった場合、税理士の平均年収を下回るかもしれません。
しかし通常、企業内税理士を擁する会社は大企業ですので、一般的なサラリーマンより高収入となるケースが多いようです。
関連記事:企業内税理士の業務内容とは?働き方やメリット、会計事務所の税理士との違いを解説!
コンサルティング会社
具体的には、企業を顧客として資金繰り等の税務相談を行うことになるでしょう。
税理士法人との大きな違いは「税務相談に力を入れているかどうか」です。
一般的な税理士法人や税理士事務所では税務書類作成や税務代行に力を入れていますが、コンサルティング会社では経営コンサルティングが主な業務になります。
税理士業務に加えて、お客様の役に立てるコンサルティング業務にも注力して働きたい人におすすめの職場です。
AIにより会計業務が自動化されつつある現在、経営コンサルティングを志す税理士は歓迎される傾向にあります。
なお収入は就職するコンサルティング会社の規模や業績によりますので、事前にチェックしておきましょう。
独立開業
自分の税理士事務所を開業します。
開業当初は顧客がいませんので収入は安定しませんが、顧客が増えれば収入は増加していきます。
従ってやり方次第では税理士の平均年収を大幅に上回る可能性もあるのです。
また定年退職がないため高齢になってからも働けますし、逆に早期退職も可能です。出勤日も退社時間も自分で自由に決められます。
しかし顧客がつかなければ年収は大きく下がります。そのため開業当初は顧客探しに奔走するでしょうし、休暇も取れないかもしれません。
独立開業に踏み切るなら、事前にメリットとデメリットをよく検討しておきましょう。
関連記事:税理士が独立/開業するには何が必要?失敗しないための準備・資金計画のポイントを解説!
税理士の年間スケジュール例

税理士は繁忙期と閑散期がはっきり分かれています。
ここでは税理士法人で働くと仮定して、大まかな年間スケジュールを見てみましょう。通常は12月から3月上旬までが繁忙期、4月から11月までが閑散期となります。
なお下記のスケジュールに加えて月次決算や中間申告、贈与税申告等の作業も行いますが、今回は割愛しました。
1月
12月に実施した年末調整の結果から、給与支払い報告書を作成します。
12月中に作成するケースもありますが、提出期限が毎年1月31日ですので2月にかかることはありません。
また個人事業主の確定申告を開始します。
個人経営の医師や弁護士、副業サラリーマン等も確定申告の対象ですので、様々な職業に対応しなければなりません。
一年分の帳簿を入力して確定申告書を作成するため、作業量が一気に増加する月です。
同時並行で11月決算法人の決算書作成と電子申告を実施します。
2月
確定申告の作業が本格化します。
同時並行で12月決算法人の決算書作成と電子申告を実施します。
従業員を雇用している企業の1月分源泉所得税額を計算します。
確定申告の作業に加えて12月決算の法人が非常に多いので、2月は作業量が最も増える時期です。
3月
申告期限である3月15日に向けて、確定申告作業が佳境に入ります。
顧客には申告前に内容や納税額等を確認してもらいますので、税理士法人内における確定申告書の作成期限は15日より数日以上前です。
同時並行で1月決算法人の決算書作成と電子申告を実施します。
従業員を雇用している企業の2月分源泉所得税額を計算します。
4月
2月決算法人の決算書作成と電子申告を実施します。
従業員を雇用している企業の3月分源泉所得税額を計算します。
繁忙期中の書類整理を行います。
5月
3月決算法人の決算書作成と電子申告を実施します。
従業員を雇用している企業の4月分源泉所得税額を計算します。
日本国内において3月決算の法人が最も多いと言われており、5月は決算書作成と申告が中心業務となるでしょう。
6月〜11月
法人の決算書作成と電子申告を実施します。
従業員を雇用している企業の源泉所得税額を毎月計算します。
12月
繁忙期が始まります。
各社から年内最終給与の情報を受け取り、給与所得者の保険料控除申告書・配偶者控除等申告書等の確認、源泉徴収票の作成といった年末調整の作業を行います。
同時並行で10月決算法人の決算書作成と電子申告を実施します。
従業員を雇用している企業の11月分源泉所得税額を計算します。
税理士になるには

税理士になるには日本税理士会に登録する必要があり、登録するには税理士試験に合格するか、指定の資格を取得するか、試験免除者となる必要があります。
税理士になるまでの流れ
税理士になるには、大きく3つのルートが存在します。
過半数の人が税理士試験受験から税理士を目指しますが、特別な経験や資格を取得している人は別ルートで税理士になることも可能です。
1.税理士試験受験
税理士試験に合格し、税理士登録を目指すルートです。
税理士試験には年齢制限がない上に、一部科目の合格は生涯有効になります。
全11科目中合計5科目に合格し(一定条件を満たせば一部免除される)2年間の実務経験を経て、日本税理士会に税理士として登録することで税理士として活躍できるようになります。
関連記事:税理士試験とはどんな試験?概要や科目、難易度について解説!
2.公認会計士または弁護士資格取得
公認会計士または弁護士資格を取得している場合、税理士試験と2年間の実務経験が免除されます。
ただし税理士として登録できるのは「公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了」した公認会計士に限定されます。
弁護士資格取得者は、上記のような研修も不要です。日本税理士会に登録すれば、すぐに税理士として活躍できます。
3.税務署での実務経験23年以上
税務署に23年または28年以上勤務し指定の研修を修了した場合、税理士試験の全科目が免除となります。
つまり税理士試験を受験せずとも税理士となる資格が手に入るのです。
なお2年間の実務経験は免除されませんのでご注意ください。
税理士試験は難関資格ですから、税務署で勤務しながら税理士試験に挑戦するというのも1つのルートになるでしょう。
税理士試験の受験資格
税理士試験は大きく「会計学」2科目と「税法」9科目に分かれており、税法のみ受験資格が定められています。
会計学:受験資格なし。誰でも受験可能。
税法:下記いずれかの要件を満たすこと
1.大学又は短大の卒業者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
2.大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得した者
3.一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
4.司法試験合格者
5.公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者)
6.日商簿記検定1級合格者
7.全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者)
8.法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
9.銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者
10.税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
出典:国税庁
税理士試験の実施回数と受験科目
税理士試験は年1回、例年8月上旬に各国税局・国税事務所の所在地等で行われます。
受験科目は下記11科目で、このうち会計学2科目および税法3科目の合計5科目で合格すると税理士試験の合格者となります。
なお「所得税法と法人税法」は選択必須科目でどちらか1つを必ず選ばなければなりません。また「消費税または酒税法」「住民税または事業税」はどちらか一方のみ選択可とされています。
<受験科目一覧>
1.会計学に属する科目
簿記論・財務諸表論
2.税法に属する科目
所得税法・法人税法・相続税法・消費税法・酒税法・国税徴収法・住民税・事業税・固定資産税
税理士試験合格率
税理士試験の合格率は10〜20%とされています。
1回で5科目全てに合格する必要はありませんので、数年かけてコツコツと合格科目を増やしていきましょう。
科目合格制について
税理士試験には「科目合格制」が採用されています。これは、一度にすべての科目に合格しなければならない試験ではなく、各科目ごとに合格を積み重ねていくことができる制度です。
科目合格制では、1科目ずつ受験し、合格した科目はその後も有効となるため、計画的に学習を進めることが可能です。
この制度により、社会人として働きながら税理士を目指す人でも挑戦しやすい点が大きな特徴です。実際に、会計事務所や一般企業で実務経験を積みながら、数年かけて合格を重ねていく人も少なくありません。
自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、無理のないペースで科目合格を進めることが、税理士試験を乗り越えるポイントと言えるでしょう。
試験合格までに必要とされる学習時間
選択する科目により多少前後するものの、5科目全てを受験する場合に必要な学習時間は最低3年程度と言われています。
1年で合格できる科目は、学生でも3科目が限界とされています。つまり最短2年で合格可能と言われています。学習時間が捻出しにくい社会人ですとさらに時間を要することから、5科目合格までに3年はかかるでしょう。
試験合格から税理士登録まで
税理士試験に合格してから税理士として登録するまでは、下記のような流れになります。
1.税理士試験合格または免除
2.2年間の実務研修
3.日本税理士会連合会に必要書類を提出
4.面接や税理士会の説明等
5.税理士登録決定通知書が届く
なお税理士登録には登録免許税や登録手数料、税理士会入会金、本会費等が合計約25万円必要になります。税理士会に払う費用は若干地域差がありますので、事前に調べておきましょう。
関連記事:税理士登録に必要な実務経験とは?業務内容やどこで経験を積むか、経験年数の計算方法を解説!
税理士の将来性
税理士は、今後も安定した需要が見込まれる専門職の一つです。企業や個人にとって、税務は避けて通れない分野であり、税制改正や制度の複雑化により、専門家へのニーズは高まっていると言えます。
近年では、クラウド会計ソフトやAIの活用が進んでいますが、これによって税理士の仕事がなくなるというよりも、役割が変化していると考えられています。単純な記帳や計算業務は効率化が進む一方で、税務判断や節税提案、事業承継・相続対策といった高度な判断を要する業務の重要性は増しています。
また、中小企業の経営支援や財務アドバイスなど、税理士が経営のパートナーとして関与する場面も広がっています。そのため、税理士は今後も専門性を活かして活躍できる職業であると考えられます。
税理士の将来性については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
関連記事:税理士の将来性とは?業界動向や今後の税理士に必要なことを解説!
税理士のキャリアプラン
税理士の魅力の一つは、キャリアの選択肢が幅広い点にあります。資格取得後の進路は一つではなく、個人の志向やライフステージに応じたキャリアを築くことが可能です。
代表的なキャリアとしては、会計事務所や税理士法人で経験を積み、将来的に独立開業を目指す道があります。独立後は、自分の専門分野を強みにしながら、顧客との関係を築いていくことができます。
また、一般企業の経理・財務・税務部門で活躍するケースもあります。企業内税理士として、決算や税務申告、税務調査対応などを担い、安定した環境で専門性を発揮することが可能です。
さらに、相続税や国際税務、事業承継など、特定分野に特化したスペシャリストとしてキャリアを築く道もあります。経験を重ねることで、他の税理士との差別化が図れ、より高い評価を得ることにもつながります。
このように、税理士は資格取得後も多様なキャリアプランを描ける職業です。自分がどのような働き方をしたいのかを考えながら、長期的な視点でキャリアを設計していくことが重要と言えるでしょう。
よくある質問
未経験からでも税理士を目指せますか?
未経験からでも税理士を目指すことは可能です。実際に、異業種から転職して税理士を目指す人も少なくありません。会計事務所では、未経験者向けの求人が出ていることもあり、働きながら実務を学ぶことができます。
税理士になるまでにどれくらいの期間がかかりますか?
税理士になるまでの期間は、人によって大きく異なります。一般的には、3年〜5年程度を目安に考えられることが多いです。
また、税理士として登録するためには、試験合格に加えて一定の実務経験が必要となります。そのため、試験勉強と並行して実務経験を積むケースも多く、長期的な視点で計画を立てることが重要です。
税理士と公認会計士の違いは何ですか?
税理士と公認会計士は、どちらも会計・財務の専門資格ですが、主な役割が異なります。税理士は、税務書類の作成や税務相談など、税務に特化した業務を行います。一方、公認会計士は、企業の財務諸表監査などを中心とした業務を担います。
まとめ

税理士は税のエキスパートとして日本の経済を支えています。
独占業務が強力な上に高収入で、なおかつ働き方を多数選択できるため、これから手に職をつけて働きたいとお考えの方には特におすすめの職業です。
税理士試験は確かに難関ですが、数年をかけて合格を目指せるので社会人でも合格は可能です。
税理士としてのキャリアアップを果たし、人生の新たなステージに挑戦してみてはいかがでしょうか。
